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母に、血圧計をプレゼントした。
オムロンの、8400円くらいの機種だ。これまで使っていたものが壊れてしまったので買い替えてやったのだが、腕帯を収納するスペースがちゃんとあり、文字も大きくて老人にも読みやすい。母は、毎日喜んで血圧を測っている。

母は、若い時は低血圧だったが、年をとって以降、長年、血圧降下剤を飲んでいる。あの、「バファリン」を処方されているので最初は驚いたが、バファリンはバファリンでも、医師の処方を要するものには、血栓を予防する作用があるのだという。もうひとつ「ノルバスク」という降圧剤も処方されている。

あの、世界一頑固で偏屈で性格のねじ曲がった父と50年以上一緒に住み、毎日のように喧嘩をして、はらわたの煮えくり返る思いをし続けてきたのなら、高血圧になるのも無理はない。

母は、父と喧嘩をすると、いつも私に電話をかけてきて、延々とうっぷんをぶちまけるのが常だった。が、考えてみれば、父には電話してうさばらしする相手もいなかったから、これってちょっと不公平だったろうか。いやいや、男は妻と喧嘩したくらいでいちいち他人に電話でうさばらしなどするまい。その代わり、パチンコ屋に入り浸っていたのは、ヒマつぶしだけでなく、そのうさばらしもあったのかな?

とにかく、父が死んで3カ月たち、その間、相変わらず処方薬は飲み続けているものの、母の血圧は、大変良好な数値で安定している。これには万々歳である。父が死んで良かった、なんて言ったらあの世の父に申し訳ないが、喧嘩をしなくなることが、どんな降圧剤にも勝る最良の薬なのだ。亭主は、現役時代は元気で留守に、年老いてからは、頑固で怒ってばかりいるより、ほどほどの年数で旅立ったほうが、妻の心身の健康にとって却って幸せだったりするのである。