アメリカの恥部をえぐるような突撃ドキュメンタリーで有名な映画監督、マイケル・ムーアが来日中である。新作「Capitalism」の宣伝のためらしいが、意外なことに初来日だという。
ところで、うちのアメリカ人の夫は、彼が大っ嫌いである。ヒラリー・クリントンに勝るとも劣らない嫌い方である。私に対しては、
「あいつの映画は絶対見るな。金と時間の無駄だ」
と厳命する。
「なんでそんなに嫌うの?」
と聞くと、
「あいつはこてこての共産主義者で、あいつの作る映画はみんな共産主義のプロパガンダなんだ」
という。従って、私は結構面白そう、とか、見てみたい、とか思っているのだけど、ムーアの映画は一度も見たことが無い(従順ね)。夫はおまけに、
「I hope someone gives him a piece of mochi and he chokes to death on
it」
とまで言った。訳すのもムーアにはばかられるが、
「誰かあいつに餅でもくれてやって、あいつがのどにつまらせて死ねばいいのに」
と言う意味だ。が、私は、その返答の内容よりも、
「はぁ~。こういうときは『on』を使うのね~」
と、またまた前置詞の使い方を知り、感動(???)してしまったのである。
英語の前置詞の使い方に迷う話は、8月22日にも書いた
(http://blogs.yahoo.co.jp/mymomomi/33071259.html)
が、今度は「on」である。我々には、「on Sunday」「on the desk」などの用法がなじみ深いが、実は、
「on」には、「不利益のon」と言われる使い方がある。
She hung up on me suddenly. (彼女はいきなり電話を切った)
He died on me.(彼は私を残して死んだ=彼に先立たれた)
Don’t quit on me. (私を見捨てないで)
などだ。このように、「on」のあとに「人」を持ってくるとそうネガティブな意味になるケースがあるのだが、今回は「餅」であって「人」でないので、へ~、こう言うんだ~、と思った。で、ちょっと書いた次第。