ご存知のとおり、国籍の付与には、「出生地主義」と「血統主義」がある。
アメリカは前者で、日本は後者だ。だから日本でも、お金のある人とか芸能人なんかが、わざわざNYやハワイに渡って出産し、
「この子はアメリカと日本の二重国籍なの」
なんて自慢していたりする。私にはほとんどアホくさくしか見えず、
「生まれたという以外に何のアイデンティティーもないのに、何がアメリカ人じゃ」
と、いやみの一つも言いたくなる。
私が結婚して間もないころ、アメリカ人の夫に、
「なんでアメリカは生まれただけで国籍を与えるの?アメリカ人の血が流れていなくても。日本では『血』が国籍を決める一番大切な要件なんだよ。少し前までは、お父さんが日本人でなければ日本国籍が取れなかったくらいなんだからね」
と聞いたことがある。すると彼は、
「アメリカは、国力増強のために、人口を欲していたから」
と答えた。
「でも、もういい加減人口も増えたし、やめてもいい頃じゃない?」
と重ねて聞いたら、
「それには、合衆国憲法を改正しないといけないから、とてつもなく不可能に近い」
と言った。彼も、おじいさんおばあさん世代が東欧からNYのエリス島を経て移民してきただけに、他国民がアメリカ人国籍を欲しがる気持ちには寛大なのかもしれない。
しかし、今回の改正国籍法は、十分審議を経て成立されたものだろうか。激しく疑問が残る。
こういう法改正があると、早速、舌なめずりして動き出す中国などのブローカーが目に見えるようだ。彼らにとって、こんなにおいしくておバカな法改正はないだろう。認知をすればいくらもらえる、というのなら、カネ目当てに偽造に協力するおバカ、ないし、貧困にあえいでいる日本人男ならいくらでも出てくる。罰則も、ゴミみたいに軽い。写真の提出も「できる限り」というあいまいさだ。昨今はデジタルカメラの時代だから、偽造くらいちょっと腕に覚えがあれば容易だ。また、そういう写真偽造家も早速暗躍しそうだ。じゃーん、これで日本人の出来上がり。正式な両親の婚姻も、帰化手続きも経ずに、日本人の血を一滴も持たない日本人の誕生。これが日本に住みだし、ろくすっぽ日本語も話せなのに、貧困であれば生活保護の需給も申請できてしまう。DNA鑑定の導入も検討されたらしいが、「特定の国に対する差別につながる」という、どう考えても理解に苦しむ理由で見送られたらしい。これを必須としないで、どうやっていきなり日本の役所に現れた、日本語も話せず、日本人との婚姻関係もない外国人女性の子を、日本人として認定しようというのだろう。ますます理解に苦しむ。通常の認知の裁判にもしいてDNA鑑定を求めないから、というのがその根拠の一つらしいのだが、通常の認知裁判は、普通、女性(子供の母)は日本人であり、国籍には争点が置かれていない。よほど出生に疑問があれば、通常の認知裁判だってDNAテストをする。
法の世界には、「父は常に推定でしかない」という言葉がある。世の中には、妻が産んだとはいえ、他の男の子を自分の子だと思ってせっせと育てている気の毒な男性も、ひょっとしたら存在するかもしれない。母親は孕むという動かしがたい事実があるけれど、父親なんて所詮「一滴」だものね。
かくも荒唐無稽な法改正に積極的に賛同した国会議員のおじさんたちは、ひょっとして東南アジアあたりに行った際、現地のお姉さん方と何か「身に覚え」があることをしたのではないか、と、下衆な勘繰りもしたくなる。
私は、夫の都合上、日本に住む外国人のビザ申請を勉強したが、たしか、アメリカと違って、「日本人の親」というカテゴリーのビザは存在しなかったはずだ。アメリカだと、アメリカ国籍を持った子が21歳になれば、外国籍の親を呼び寄せるグリーンカードのカテゴリーがあるけれど、日本では、日本国籍の子供の親であるとはいっても、帰化しない限り、そのまま当然日本に住む在留資格はない。この点だけがちょっと救いといえば救いかも知れないが、いざとなったらそういう人たちは不法在留するくらいいくらでもするだろう。
移民とは、常に、「貧しい国」から「豊かな国」に生じる行為だというのを忘れるべきではない。冒頭に述べた「うちの子は日米二重国籍なの」と喜ぶおバカ日本人は、単にアメリカかぶれでアメリカ人だと格好いいと思っているだけだが、もし、仮に、アフリカの最貧国のA国籍も取れる、という選択肢が与えられたって、絶対に「要らない」というはずだ。持っていてトクな国籍なら、誰だって取りたいはず。貧しいアジア諸国にとって、豊かな日本の国籍を取るというのがどんなにおいしいことか、国会議員の皆さんはわかっているのだろうか。あのフィリピン人原告の子供らの母達は、結婚、どころか、避妊もせずに、安易に日本人男性に体を開いたわけだ。そんな勝手なことをしておいて、子供に日本国籍を、なんて都合のいいことをぬかすな、と言いたい。
アメリカは前者で、日本は後者だ。だから日本でも、お金のある人とか芸能人なんかが、わざわざNYやハワイに渡って出産し、
「この子はアメリカと日本の二重国籍なの」
なんて自慢していたりする。私にはほとんどアホくさくしか見えず、
「生まれたという以外に何のアイデンティティーもないのに、何がアメリカ人じゃ」
と、いやみの一つも言いたくなる。
私が結婚して間もないころ、アメリカ人の夫に、
「なんでアメリカは生まれただけで国籍を与えるの?アメリカ人の血が流れていなくても。日本では『血』が国籍を決める一番大切な要件なんだよ。少し前までは、お父さんが日本人でなければ日本国籍が取れなかったくらいなんだからね」
と聞いたことがある。すると彼は、
「アメリカは、国力増強のために、人口を欲していたから」
と答えた。
「でも、もういい加減人口も増えたし、やめてもいい頃じゃない?」
と重ねて聞いたら、
「それには、合衆国憲法を改正しないといけないから、とてつもなく不可能に近い」
と言った。彼も、おじいさんおばあさん世代が東欧からNYのエリス島を経て移民してきただけに、他国民がアメリカ人国籍を欲しがる気持ちには寛大なのかもしれない。
しかし、今回の改正国籍法は、十分審議を経て成立されたものだろうか。激しく疑問が残る。
こういう法改正があると、早速、舌なめずりして動き出す中国などのブローカーが目に見えるようだ。彼らにとって、こんなにおいしくておバカな法改正はないだろう。認知をすればいくらもらえる、というのなら、カネ目当てに偽造に協力するおバカ、ないし、貧困にあえいでいる日本人男ならいくらでも出てくる。罰則も、ゴミみたいに軽い。写真の提出も「できる限り」というあいまいさだ。昨今はデジタルカメラの時代だから、偽造くらいちょっと腕に覚えがあれば容易だ。また、そういう写真偽造家も早速暗躍しそうだ。じゃーん、これで日本人の出来上がり。正式な両親の婚姻も、帰化手続きも経ずに、日本人の血を一滴も持たない日本人の誕生。これが日本に住みだし、ろくすっぽ日本語も話せなのに、貧困であれば生活保護の需給も申請できてしまう。DNA鑑定の導入も検討されたらしいが、「特定の国に対する差別につながる」という、どう考えても理解に苦しむ理由で見送られたらしい。これを必須としないで、どうやっていきなり日本の役所に現れた、日本語も話せず、日本人との婚姻関係もない外国人女性の子を、日本人として認定しようというのだろう。ますます理解に苦しむ。通常の認知の裁判にもしいてDNA鑑定を求めないから、というのがその根拠の一つらしいのだが、通常の認知裁判は、普通、女性(子供の母)は日本人であり、国籍には争点が置かれていない。よほど出生に疑問があれば、通常の認知裁判だってDNAテストをする。
法の世界には、「父は常に推定でしかない」という言葉がある。世の中には、妻が産んだとはいえ、他の男の子を自分の子だと思ってせっせと育てている気の毒な男性も、ひょっとしたら存在するかもしれない。母親は孕むという動かしがたい事実があるけれど、父親なんて所詮「一滴」だものね。
かくも荒唐無稽な法改正に積極的に賛同した国会議員のおじさんたちは、ひょっとして東南アジアあたりに行った際、現地のお姉さん方と何か「身に覚え」があることをしたのではないか、と、下衆な勘繰りもしたくなる。
私は、夫の都合上、日本に住む外国人のビザ申請を勉強したが、たしか、アメリカと違って、「日本人の親」というカテゴリーのビザは存在しなかったはずだ。アメリカだと、アメリカ国籍を持った子が21歳になれば、外国籍の親を呼び寄せるグリーンカードのカテゴリーがあるけれど、日本では、日本国籍の子供の親であるとはいっても、帰化しない限り、そのまま当然日本に住む在留資格はない。この点だけがちょっと救いといえば救いかも知れないが、いざとなったらそういう人たちは不法在留するくらいいくらでもするだろう。
移民とは、常に、「貧しい国」から「豊かな国」に生じる行為だというのを忘れるべきではない。冒頭に述べた「うちの子は日米二重国籍なの」と喜ぶおバカ日本人は、単にアメリカかぶれでアメリカ人だと格好いいと思っているだけだが、もし、仮に、アフリカの最貧国のA国籍も取れる、という選択肢が与えられたって、絶対に「要らない」というはずだ。持っていてトクな国籍なら、誰だって取りたいはず。貧しいアジア諸国にとって、豊かな日本の国籍を取るというのがどんなにおいしいことか、国会議員の皆さんはわかっているのだろうか。あのフィリピン人原告の子供らの母達は、結婚、どころか、避妊もせずに、安易に日本人男性に体を開いたわけだ。そんな勝手なことをしておいて、子供に日本国籍を、なんて都合のいいことをぬかすな、と言いたい。