長年の男友達が、気の毒なことに、訴えられている。訴状を読むと、難癖というか、腹いせというか。よくこんな原告の代理人になって訴えを起こした弁護士がいたものだとあきれるほどの内容である。いくら訴えるのは自由だからといっても、して良い訴訟かどうかを考えろよな、と思う。
私は弁護士ではないけれど、法務が専門職なので、彼の外国人上司のために、訴状をガシガシ英訳してやったり、答弁書の原稿を代筆してやったりと、奮闘している。彼も幸い、良い弁護士を見つけることができたので、徹底して応戦する構えだ。弁護士は、私が作成した答弁書をほめてくれ、これに基づいて訴訟を進めることになった。
ところで、私が「このくらいみんな知っているだろう」と思っていることと、裁判素人である彼のひょんな質問とのギャップには、結構驚かされる。たとえば、私が、訴状を読んで、
「バカみたいだね。でも、こんなの、きちんと応戦したら、判決を待たずに和解で終わるんじゃないかな」
と、何度も電話で「和解」という言葉を使ったが、彼の反応が暗い。
「僕は逆に、彼らからカネを取りたいんです」
と言うので、
「だったら、いじめによる精神的な苦痛を味合わされたことに対して反訴をする、とか。そこは弁護士に相談だよ。反訴したら、『和解で決着しよう』って、むこうから折れてくるかもしれないし」
と言っても、いまいち反応が鈍い。ある日の夜、弁護士事務所に打ち合わせ行くことになり、私も付き添うことにしたので、彼と顔を合わせて、また「和解」の話をしたら、彼が、おずおずと
「でも、和解になったら、おカネ取れないでしょう?」
と聞いてきた。私はこれを聞いて、仰天した。そうか、彼は、「和解」を、単に、「争いをやめて仲直りすること」と思っていたのだ。これには参った。
第一回期日が設定されているのだが、弁護士事務所で弁護士と面談していたとき、彼が
「先生もその時間に来てくださるんですよね」
と質問したときにはドキっとした。先生「も」ということは、彼自身も当然出廷するという前提の質問である。私があわてて
「ち、ち、違うのよ。あなたは呼ばれるまで行かなくていいの」
と言うと、彼は
「え?そうなんですか?僕も全部行くのだと思っていた」
と、目がテンになっていた。弁護士もニコニコしながら
「そうですよ、呼ばれるまで行かなくていいんですよ」
とフォローしてくださったが、そうか、一般の人は、訴えられたら、全ての期日に自分も出廷しなければならない、と思ってしまうのか、うーん(もちろん、出廷してもかまわないけれど、平日はみんな仕事をしているので、弁護士に任せるのが一般的である。それに、最初の2,3回はあまり重要な論争はないし)。
というわけで、決着するまで、もっとあれこれサポートしてやらないといけないようだ。
ま、勝訴したら、お礼に丸ビルでご馳走してもらうことになっているし。
私は弁護士ではないけれど、法務が専門職なので、彼の外国人上司のために、訴状をガシガシ英訳してやったり、答弁書の原稿を代筆してやったりと、奮闘している。彼も幸い、良い弁護士を見つけることができたので、徹底して応戦する構えだ。弁護士は、私が作成した答弁書をほめてくれ、これに基づいて訴訟を進めることになった。
ところで、私が「このくらいみんな知っているだろう」と思っていることと、裁判素人である彼のひょんな質問とのギャップには、結構驚かされる。たとえば、私が、訴状を読んで、
「バカみたいだね。でも、こんなの、きちんと応戦したら、判決を待たずに和解で終わるんじゃないかな」
と、何度も電話で「和解」という言葉を使ったが、彼の反応が暗い。
「僕は逆に、彼らからカネを取りたいんです」
と言うので、
「だったら、いじめによる精神的な苦痛を味合わされたことに対して反訴をする、とか。そこは弁護士に相談だよ。反訴したら、『和解で決着しよう』って、むこうから折れてくるかもしれないし」
と言っても、いまいち反応が鈍い。ある日の夜、弁護士事務所に打ち合わせ行くことになり、私も付き添うことにしたので、彼と顔を合わせて、また「和解」の話をしたら、彼が、おずおずと
「でも、和解になったら、おカネ取れないでしょう?」
と聞いてきた。私はこれを聞いて、仰天した。そうか、彼は、「和解」を、単に、「争いをやめて仲直りすること」と思っていたのだ。これには参った。
第一回期日が設定されているのだが、弁護士事務所で弁護士と面談していたとき、彼が
「先生もその時間に来てくださるんですよね」
と質問したときにはドキっとした。先生「も」ということは、彼自身も当然出廷するという前提の質問である。私があわてて
「ち、ち、違うのよ。あなたは呼ばれるまで行かなくていいの」
と言うと、彼は
「え?そうなんですか?僕も全部行くのだと思っていた」
と、目がテンになっていた。弁護士もニコニコしながら
「そうですよ、呼ばれるまで行かなくていいんですよ」
とフォローしてくださったが、そうか、一般の人は、訴えられたら、全ての期日に自分も出廷しなければならない、と思ってしまうのか、うーん(もちろん、出廷してもかまわないけれど、平日はみんな仕事をしているので、弁護士に任せるのが一般的である。それに、最初の2,3回はあまり重要な論争はないし)。
というわけで、決着するまで、もっとあれこれサポートしてやらないといけないようだ。
ま、勝訴したら、お礼に丸ビルでご馳走してもらうことになっているし。