オバマが当選確実になった。
共和党支持者の夫は、憤懣やるかたない。
「マケインは、10年遅かったよ。これから大統領をやるには爺さん過ぎるよ」
「ペイリンは、最初は良かったけど、だんだんぼろが出てきたね」
「共和党は、スター不足だよね」
などという私の批判にも「けっ!」と言う。
私としては、ジュリアーニのキャンペーンの失態が残念だ。もう少しうまくやっていれば、マケインでなくジュリアーニが候補者だったかもしれない、と思う。その場合、副大統領候補がマケインでもいいな。

オバマの母親は白人である。50対50の割合なのに、どうしても「黒人」と呼ばれる。
「ねえ、4分の1でも黒人なの?」
「そうだ」
「16分の1でも?」
「そう」
「32分の1でも?」
「そう」
「64分の1でも?」
「そう、黒人」
と夫は言う。64分の1ではほとんどわからなくなると思うのだが。

若くて、まだ議員1期目で、これといった実績もなく、外交経験も予算を扱ったことも何もないのに、大統領に選ばれてしまった。経験不足は、これから大きくのしかかってくるだろう。

ブッシュ・ジュニア大統領が悪すぎたため、民主党に有利に働いた、という説は当たっているだろう。
あの、どう見ても「頭がいい」とは言いがたい男が、8年間も大統領を勤めてしまった。
パパが大統領でなかったら、とてもではないが、大統領はおろか知事にもなれなかったであろう。
前回の選挙では、ケリーという、なんかぱっとしない男が競合相手で、勝つことができた。
初回大統領選挙ときは、投票機や投票用紙の不具合とか、はては、フロリダ州の選挙管理委員長が共和党員であったことなどの要因が幸いして当選した。
そして、それは、現職副大統領という有利な立場にいたアルバート・ゴアという男に、決定的な人気がなかった、という裏返しでもあった。
ゴアはいま、もっぱら環境問題の専門家として活動し、ノーベル平和賞まで受賞した。
そういう生き方のほうが、この「堅物で退屈」といわれた男には向いているようだ。

さて、オバマ一家は、これから、暗殺や誘拐のおそれと戦い続ける生活に突入する。
彼が狙われずに4年ないし8年の任期をまっとうできるのかが、今まっさきに気にかかることである。