読売新聞より

 

 

 

犬や猫などが増えすぎて、飼い主や販売業者らが適切に飼育できなくなる「多頭飼育崩壊」などが起きた場合の緊急対応として、大阪府は、民間団体が動物を受け入れるのにかかる費用を負担する方針を固めた。多くの動物を速やかに保護できる態勢を整えておく狙いがある。環境省によると、多頭飼育崩壊などで自治体が緊急対応の費用を負担する取り組みは、全国的にも珍しいという。(山本貴広)

 

昨年2月、多数の犬を飼育していた大阪府寝屋川市の犬の繁殖・販売業者が、けがや病気で衰弱した複数の小型犬を放置したとして、動物愛護法違反容疑で府警に逮捕される事件が起きた。府は、業者が飼っていた約200匹について所有権放棄を促し、引き取りを希望する個人らに譲渡することにしたが、数が多く、受け入れ先の確保は難航したという。

 

府では、動物愛護管理条例によって10匹以上の犬や猫を飼育する場合に届け出が義務化されており、2022年度末時点で353件(計約6000匹)に上る。

 

飼い主が多数の動物の世話をできなくなった場合、緊急的に保護する必要が生じる。しかし、府の動物愛護管理センターだけでは限りがあるため、府は寝屋川市のケースを教訓に、飼い主の同意を得たうえで民間の動物愛護団体などに受け入れを打診し、餌代や治療費などを府が負担することに決めた。受け入れ団体向けに、感染症の防止や安全確保に関する講習会も開く。

 

24年度当初予算案に、動物の緊急保護に必要な約200万円を計上する方針で、個人や企業の寄付による府動物愛護管理基金を原資にするという。

 

現行の動物愛護法では、自治体による動物の保護は飼い主の同意を得る必要があるが、府は昨年6月、虐待が疑われる動物については、自治体の権限で緊急的な一時保護ができるようにする法整備や財政支援を環境省に要望している。