■中国は恐くない!中国はこんな国(その1)

 

中国及び中華圏各国、そして韓国やベトナムなどは昨日(2月10日)から旧暦の正月になります。中国は8連休が始まりますが、今年は中国経済が衰退過程にあり、多くの中間所得層が旅行に行けないほど疲弊している現状、中国人観光客に期待する世界各国の観光業にとっては期待薄の年となります。日本ではマスコミが中国政府の意向を受けて、今年の春節大移動は延べ90億人だ、と大騒ぎです。この報道からも、日本のメデイアが中国に対して大変な気遣いをしていることが窺い知れます。正しく自民党や公明党の体質と同じです。

 

中国は昨年来公務員の出国を規制するため、パスポートを取り上げてきました。また、外貨持ち出しも規制し、日本旅行には団体旅行を規制しているので、この春節に訪日できる中国人は公務員でない人々であり、また海外に口座を保有し、クレジットカードを利用できる個人に限られるでしょう。今年はシンガポールと中国が相互にビザ免除をする協定を結び、この春節に中国人観光客の誘致に動いています。タイも中国人観光客誘致に向けて様々な優遇政策を決定しました。このような動きから、今年の春節休みには、中国人の多くが東南アジア旅行を選択しています。一方、日本旅行は中国政府の規制のため、これまでのように中国人観光客を誘致することはできなくなりました。

 

日本人の多くはあまり中国の実態を知らないでしょうけれど、確かに中国人の所得は2010年頃から大幅に増加してきました。つい20年前まで中国人一般労働者の賃金は1200元から2000元の間で、少しよい外資系に勤める人でやっと2000元程度の時代でした。それが近年5000元程度にまで増えているのです。しかし、20年前と近年では物価がまったく違います。20年前なら、外食してもせいぜい一人50元も出せば食べられました。日本人駐在員も20年前なら、上海や北京の日本料理店で定食とビール一本を注文しても、100元程度で食べることができました。当時のレートは1人民元=13円でしたから安かったのです。ところが今はその倍は必要です。当時北京や上海のクラブでは、ボトルがあれば一人300元で足りました。しかし今はその倍以上です。またゴルフも当時は日本円で1万円程度でしたが、今は3万円もかかるゴルフ場が沢山あります。中国人の生活コストもそれと比例して非常に高くなりました。特に住宅コストが異常に高いのです。買うにしても借りるにしても、もう20年前のような価格ではありません。

 

そんな中で当時より給料が上がっても、日常の生活費には子供の養育費、教育費や病院の治療費、薬代などがかかります。更に中国人の大半が昔から親戚や友人から借金をしているため、その返済もあります。そこへ住宅や車のローンを組むと、大変なことになります。それでも夫婦共働きで何とか乗り越えてきているのです。中国人が給料だけで生活できる時代は昔も今もありません。ですから、中国では親族の誰かが権力者となれば、その権力者が任期中にできる限りの汚職をし、得られる限り金を得て、それを親族に配分します。権力者となれば必ず裏金を得ることができますし、政府の幹部となると、様々な許認可権によって賄賂を得られるため、少し大きなプロジェクトですと、何億円もの裏金を得られるのです。そしてその資金でこれまで不動産を購入し、その転売でボロ儲けしてきたのです。その中で賢い人間はとっくの昔に中国の資産を海外へ移転させ、親族も海外移住しているのです。私が知っている範囲で言えば、習近平が権力を掌握する前にサッサと中国を出国した共産党幹部とその親族が大勢いました。その多くがアメリカに会社を設立し、高級住宅地で家を購入し、そこで生活を始めていました。今どうしているかは知りません。

彼らは習近平の性格を知っていたからこそ出国したのです。

 

習近平が最高指導者となった2013年以来アメリカでトランプ大統領が就任するまで、中国は不動産価格が右肩上がりに上昇を続けてきましたので、元々300万円程度の住宅が、何もしていないのに3000万円、5000万円まで跳ね上がりました。これは日本のバブルどころではありません。北京や上海なら20倍、30倍になった物件もあります。これで中国人の多くが金持ちになったのです。このときに物件を売ってその資金を海外へ持ち出した人は今も金持ですが、多くの人は不動産を売らず更なる値上がりに期待しました。ところがコロナが始まった2000年前後から中国の不動産価格は下落が始まりました。ここで大変なのは、値下がりが始まる少し前にローンを組んで住宅を購入した若者です。ローンを組んだ際は不動産価格がピークで最も高いときです。そして中国の不動産は値上がりしても値下がりしないという神話がありました。ところがその神話がコロナを境に崩壊してしまったのです。そうなると仮に住宅を売っても借金が残ることになります。中国はローン金利が非常に高く、年利5%以上です。仮に5000万円のマンションを購入し、頭金が1000万円として残り4000万円をローンとすれば、その年利だけで年間200万円です。そこに元金を返済となると、毎月20万円以上を返済することになります。今の人民元レートですと、毎月1万元以上の返済です。今の中国で月給1万元を得られる人はほとんどいません。夫婦共働きで二人の所得を併せて返済すると、恐らくその他の生活費が捻出できません。当然子供を産んで育てることは夢となります。不景気になればなるほど所得は更に下がります。ですから当然ながら借金返済ができず、破綻する人が増え続けるのです。

 

今中国でローン返済できず破綻する家庭が想像以上に多いため、これを解決するにはただ一つしかありません。それは中国が改革開放政策を放棄し、再び計画経済に戻り、すべての民間企業を国営企業に変更し、その代わりにすべての借金をチャラにするしかないのです。こうなると中国の国際的な立場は弱まり、信用も失うことになります。また海外とのビジネスも限定されるため、外貨を得られなくなり、ハイテク産業を育成できなくなります。当然近代的な防衛能力も失います。それを中国が覚悟できるかどうかですが、それしか中国人民を救い中国を再建する方法はありません。今正に習近平はその方向に舵を切っているように思います。しかし習近平は欲深い人間ですから、無理をして資金をばら撒き、そのツケを国民が負担することになるでしょうから、多くの人民は大躍進のときのように生きられなくなります。あと5年すれば中国の人口は急減するように思います。それか、中国人民が習近平政府に立ち向かえるかです。人民がいくら結束しても、軍を味方にできなければ粛清されます。今後人民解放軍が人民側に付くかどうかです。

 

中国は2002年頃から突然自動車の販売に力を入れるようになりました。そしてその頃から世界の自動車メーカーが中国進出を目論みました。2003年頃からトヨタも本格的に中国進出を果たしました。ホンダは広州でフランスプジョーの工場を買収し、そこから中国での自動車製造をスタートし、当初はアコードを生産し大変な人気でした。スズキは重慶に早くから進出していたため、そこでアルトを製造していました。その後日産は武漢に工場を開設しましたし、マツダも進出しました。欧米や韓国のメーカーも次々に工場を開設しました。そして2005年以降中国社会で自動車の保有台数が大幅に増加しました。2003年、北京の国家機関の官僚である友人が、「北京はこのところ毎日自動車の登録台数が10万台を超えてきて考えられないことだ」と言っていたことを思い出します。

 

中国はリーマンショックを境に経済刺激策として4兆元の資金を投じ、中国の大規模国有企業の近代化や規模拡大を推進させました。また中国各地に経済開発区を増設し、そこに多くの外資系企業を誘致しました。2010年頃からは世界の工場としての地位を確立し、あらゆる製品の海外輸出が盛んに行われ、日本経済も中国抜きには考えられなくなって行きました。この頃から、経済開発区周辺で大規模不動産開発が進み、○○花園などの看板が各地に見られるようになって行きました。2012年以降、イオンモールが中国各地にでき、中国経済発展の勢いを感じました。

 

今アメリカが中国にハイテク技術を渡さないよう厳しい規制をかけています。中でも半導体についてアメリカの同盟国を巻き込んで厳しく管理しています。この半導体に中国が力を入れ始めたのは、90年代後期でした。NECが華虹?だったように思いますが上海に半導体工場を設立し、それから中国に半導体製造技術が移転され始めました。その後台湾TSMCの技術を有するSMICが天津のモトローラ工場を買収し、半導体製造を始めました。しかし2010年以前、半導体の基盤となるシリコンウェハは原材料であるポリシリコンの製造ノウハウを有していなかったため、中国独自に原材料から一気通貫で製造することができませんでした。ですが、2008年頃に半導体用シリコンウェハに使用するポリシリコンが世界的に不足し、価格が高騰したことから、このビジネスを狙って2010年以降中国各地でポリシリコン製造を目的とする企業の開業が急増しました。しかし結局半導体用途として要求される品質に達することのできた企業はなく、多くがその後破綻しました。しかし生き残った数社は、ポリシリコンの純度が半導体には足りないけれど、太陽光パネル用には足りるものを製造できるとして、それ以来太陽光パネル用に特化したメーカーが数社あります。それらがあったからこそ中国製の太陽光パネルの世界シェアが圧倒的なものとなったのでしょう。しかし今でも半導体用途にはできないのです。

 

中国はEV車大国と言われています。近年中国ではEV車に乗り換えた人が大勢いますので、EV車を製造する企業が多数存在し、それらが熾烈な販売合戦を繰り広げた結果、コスト割れの低額で販売し、大赤字に陥っている企業が多数あるのです。これから中国政府のEV補助金が打ち切られ、販売が困難となるように予想されています。また、EV車は寒さに弱いため、この春節休みで高速道路を利用した多くのEV車が立ち往生しているとの話を聞きます。今年中国では浙江省などで大雪に見舞われ、高速道路上で3日間立ち往生する車が多く見られたようです。中でもEV車のバッテリーは寒さのため電力消耗が激しく、暖房をつけるとあっと言う間に電気を失うようです。その結果、寒さで凍死することすらあるようです。逆にガソリン車は暖房を一時的につけても影響がないので、電気自動車に乗り換えて後悔する人が増えているそうです。アメリカでもEV車の販売量は増えているもののそれ以上にハイブリッド車の需要が増えていると言います。結局EV車の場合は、先ず購入時の価格が高いこと、寒冷地でのバッテリーの消耗が早い、充電施設が少なく充電に時間を要するなどの理由で、世界全体ではまったく普及していません。EV車言い出しっぺの欧州の自動車メーカーですら、昨年来方針転換をし始めています。結局EV車に完全切り替えをしても、消費者が拒否すれば売れないと悟ったのです。その中でトヨタは流石です。これまで通り内燃エンジン車を作り続けると言っていました。今このトヨタの考えが世界のスタンダードになろうとしているのです。結局中国は内燃エンジンを独自に製造する技術ノウハウが無いため、電気自動車に置き換えることで世界の自動車市場を独占する目論見でしたが、それがまんまと外れたのです。これから中国社会でもEV車が見放されると、中国のEV車メーカーは次々に倒産すると思います。また、今年はアメリカの大統領選挙で、トランプ大統領が返り咲くと、EV車の政策は大転換することになりますし、二酸化炭素ゼロ政策も転換することでしょう。日本の政治は風見鶏で自分の意思を持ちませんので、またトランプ大統領の言いなりとなるでしょう。その前に日本の政治が転換できるか、非常に重要な時期です。

 

さて、今になって中国株は大量に売り込まれ、このままですとまだまだ下がり続けることになります。これを警戒した習近平は空売り禁止などの規制をかけましたが、結局空売りが無いと売りは止まらなくなります。売り手はいても買い手がいないからです。空売りなら必ず何処かで買い戻しますので歯止めがかかりますが、禁止となると売るしかないのです。何をやっているのでしょうか。それから今になって中国株を大量に売るのは欧米のファンドでしょう。つい数か月前まで彼らは中国政府に期待し、まだ中国の復活はあり得ると考えていたため、中国株を売らずに持っていたのです。その頃はマスコミを通じて中国経済はまだ大丈夫と宣伝していました。しかしもう限界が来たのでしょう。彼らは中国を批判し始めました。それだけ中国政府には期待できないと判断したのです。ところが日本企業は経団連や日商がわざわざこんな時期に北京詣でをし、中国にゴマすりをしました。それで何を得れましたか?今中国とビジネスをすることはリスクでしかないと言えます。中国の全てが悪いわけではありませんが、中国の現状から、いつ暴発してもおかしくないのです。

 

中国人民解放軍は臆病ですし、中国共産党幹部はもっと臆病ですから、アメリカや日本を敵にして戦う覚悟はありません。最後に核兵器を使う覚悟があるなら別ですが、それをすることで自滅することを知っています。中国人を見ていたらわかるとおり、彼らは守銭奴であり、金のためならなんでもします。しかし、自分の命を懸けて戦争をすることには消極的です。金にならないからです。戦争して金になるのは欧米のネオコンやデイープステイトだけです。中国にとってはメリットがありません。中国人は計算高いですから、台湾進攻にしても尖閣にしても現状ではできません。今習近平体制は非常に不安定です。この不安定なときに紛争を起せば、その混乱に乗じて反習近平派が軍を巻き込み動き始めます。そのバックにはアメリカもいると考えています。こんな状況ですから、中国は簡単に動けません。ですから、中国海警局の船が日本海域に侵入すれば、自衛隊の軍艦が出て海上封鎖すればよいのです。また日本政府は中国の性質を知り、もっと強く出てよいのです。そして、中国がこれ以上の行動をすれば、日本は領土・領海・領空を守るため、軍事行動に出ると脅すのです。中国はその脅しを信用しませんが、自衛隊の軍艦を尖閣に送れば理解します。中国が怖いと言っていては領土・領海・領空と国民の生命・財産を守ることはできません。中国の兵士だって怖いと思っています。それに中国の兵士の多くは一人っ子ですよ。中国政府も簡単に戦地に送ることはできません。中国にはもっと肝の据わった対応をするべきですよ。屁っ放り腰の自民党や公明党には無理かな?

 

また中国について書きたいと思います。

では。