大家 早上好!!

 

おはようございます。もう直ぐ梅雨明けしそうで嬉しい気分ですが、新型コロナの影響でこの夏は何処にも行けそうにありません。早く終息して欲しいですね。

 

さて、今中国では国民の反米感情を煽るように朝鮮戦争の映画を放映したり、新たな反米映画を制作する動きが出てきたようです。そしてこれとは逆に抗日映画の放映が減っているようです。いくら中国政府が庶民のSNSを検閲しても、必ず国外の情報は入り込んできます。ですから昔と同じように反米や抗日のドラマや映画を放映したところで、中国人民は「またか」と思っているだけです。田舎で暮らす人民は影響を受けるかもしれませんが、だからと言ってそういう人が米国と戦うために兵士に志願することもないでしょう。中国共産党が30年前と変わらない宣伝活動をしていることに驚くばかりです。

 

中国共産党幹部は中央や地方を問わず、ほぼ全てが身内を欧米に留学させ、そこで蓄財をしてきました。90年代は欧米や日本の銀行や商社が中国政府とのコネを強化する目的で、中国共産党幹部の身内を社員として受け入れてきました。当時アメリカは中国人の留学や移民に厳しく、理工系の技術者で渡米時既に英語能力が高く適応力のある有能な人材であっても難しい時代でした。ですから私の友人も非常に有能な人間でしたが、何度も北京から広州の米国総領事館へ出向き、面接を受けなければならないと言っていました。何故駐北京大使館では面接ができないのか聞きましたが、理由はわからないと言っていました。1995年当時、中国人のアメリカ留学や移民については、広州の米国総領事館で数度の面接を受ける必要があったようです。アメリカへ渡ることは中国人にとってとてもハードルの高いものだったのです。その友人は結局一旦カナダに渡り、そこでアメリカへ移民する資格を取ると言っていました。

 

2000年以降アメリカの中国人に対するビザ発給の緩和で、多くの中国人がロスやサンフランシスコなどカリフォルニア州で億単位の投資をし、一族を引き連れて移民していました。アメリカに移民できる人はかなりの資産を持っているだけでなく、アメリカが受け入れられる要件を満たした人であり、そうでない人はやはりアメリカへの移民が難しかったようです。もし能力的にアメリカ移民が難しい場合は、一旦カナダやオーストラリアに移民し、ステップを踏んでからアメリカを目指すのです。中国人の知人の中には、日本に留学してからアメリカを目指す人もいました。中国人にとって移民したい国はアメリカ、留学したい国はイギリスではないでしょうか。日本には現在90万人の中国人がいますが、その中にも日本をステップにしてアメリカやイギリスを目指す人がいます。ただ、これからアメリカ渡航は中国人にとって難しくなるでしょうから、このまま日本に残る人が多くなるかもしれません。

 

そもそも中国人は中国の暮らしに希望を持てず、常に外へ出たいという願望があると思います。1980年代は中国の至る所で、多くの中国人の若者が外国人を見つけると、直ぐに近寄ってきて留学の保証人になって欲しいと言うのです。あの当時は社会主義色が強く、まだ厳しい情報統制の時代でしたので、外国についての情報が少なかったのですが、それでも日本やアメリカへの憧れを持つ人は一定数いました。1985年頃は知り合う中国人のほぼ全員が「日本に留学したいから保証人になって下さい」と言ってきました。今日知り合ったばかりの中国人がいきなりそんなことを言いだすので、本当に驚いたものです。ただきりがないので、そういう人には二度と会わないようにしていました。当時中国に留学や駐在をしていた人は、必ずそういう経験をしたのではないでしょうか。あの当時の中国を知る日本人も少なくなってきましたので、私も希少価値が出てきたかな。90年後半以降中国語を学んだ人や中国ビジネスに携わった人には理解できないことかもしれませんね。

 

これから米中関係がより一層拗れて行きますので、その中で中国人がアメリカを目指すことはとても難しくなるでしょう。そうなると、現在のところ中国人の受け入れに柔軟な日本を目指す人が増えてきます。アメリカから追い出された人が日本を新拠点とする可能性もありますが、日本もそこは慎重に対応するべきです。アメリカから追い出された中国人はスパイ容疑がかけられた人です。そのような人が日本を拠点とするならば、日本は中国人スパイの受入れをする危険な国というレッテルを貼られます。これは最終的に日本の信用を失うのみならず、日本の国益に関する様々な情報を奪われ、最先端技術ノウハウを抜き取られ、国内産業に被害が及びます。これまでの25年で日本の技術ノウハウを隣国が奪ったことで、日本経済は甚大なダメージを受けたにもかかわらず、隣国は経済発展を遂げました。これを見ても、日本の国益をどれほど毀損したかがわかるでしょう。政府には日本の国益よりも隣国の国益を尊重するバカがいます。そして企業経営者も日本社会へ貢献する意識を持たず、利益だけを追求するために中国への投資を増やしました。

 

中国への進出が悪いと言うのではなく、あまりにも中国に傾斜し依存し過ぎているという意識を持つべきだと言っているのです。特に日本の医薬品メーカーの中国依存度の高さには驚かされます。メーカーによっては調達原料の半分以上を中国に依存しているメーカーがあるのです。化学メーカーの中にもそのような企業があります。何故リスクヘッジのためにもっと調達先を分散させようとしないのか、本当に不思議に思いますが、結局調達のための距離と時間を考えた場合、中国が日本企業にとって最も有利だからでしょう。しかし、実は医薬品メーカーが調達する原材料について、一部の生薬を除き、ほぼ日本の合成材料メーカーでも生産が可能なのです。ですが2000年頃からアメリカやイギリス、ドイツなどで医薬、バイオ関連、化学等を学んだ中国人(所謂海亀族と称される人々)が中国に帰国し、それら人材に対して中国政府が資金を提供し起業させました。その多くが医薬品・合成化学・バイオメーカーです。ですからそこに日本のみならず欧米の医薬品・化学品メーカーが目を付け、自国内の調達から中国からの調達に切り替えました。

 

中国から調達したものは品質的に問題なく価格も安いということに加え、環境問題や危険品で国内製造が難しいのです。この結果、日本の合成化学メーカーも中国に製造委託するものが増えて、国内での製造するものとの棲み分けが明確になりました。本来は国内で製造可能なものですが、現状はその多くが中国製に変わっているのです。富士フィルム富山化学が製造するアビガンも、政府から原材料を含めた国内での生産を要請されたことから、以前アビガンの原料を製造していた化学メーカーのデンカが、再び富山工場で生産を始めると発表しました。デンカが原料の製造を止めたのも、中国産に勝てなかったからだと考えられます。アビガンの原料であるマロン酸ジエチルを製造する中国の化学メーカーは数社あるようですが、現在中国もアビガンの類似品をフル稼働で製造しているらしく、中国産原料の調達が難しくなっているようです。中国もこの2年間で江蘇省などでは厳しい環境規制により、かなりの化学メーカーが廃業や移転を余儀なくされ、この動きは全国に広がっていますので、中国からの調達も厳しくなっている現状があります。政府によるこの厳しい環境規制のために、移転も事業継続もできない経営者が工場に火をつけ火災を発生させるケースがこの2年ほど増え続けていました。火災を発生させることで火災保険を貰い、一時を凌ぐためだと聞きました。とんでもないことです。中国で工場火災や爆発が多い原因の一つなのだそうです。

 

医薬品・化学品の原材料は今後できる限り国内に回帰させ、中国依存度を引き下げるべきだと思います。製造上の工夫によって、日本の製造は中国よりも有利になると思います。既にコスト面でそれほど大きな差がないのですから、リスク分も考慮に入れると逆に日本の方が安いかもしれません。米中間の摩擦は増す一方であり、世界の大多数の国はアメリカ側に付きます。中国経済はこれまでアメリカ市場に支えられて来ました。確かに今の中国には高度な技術とイノベーション力があります。しかしそれらが花開くには、どうしてもアメリカ市場が必要となります。アメリカ無しに中国のハイテク産業は成長できません。ですからメデイアの一部に中国がアメリカに勝つと言うような表現をするところがありますが、とんでもない誤りです。中国にはハイテク産業を育てる力はありません。習近平がしきりに輸出型経済から内需型経済に変えるようなことを言っていますが、中国に相変わらず多くの偽物があるのは何故でしょうか。それは本物を買うだけの資金余力が庶民にはないからですよ。その市場が最先端の本物のハイテク製品を育てられると思いますか。李克強首相が話したように、中国の人口の半数が月収1000元(15000円)以下なのです。中には月収100元の家庭もあるでしょう。金持ちは国内の製品を買わず、海外の有名ブランド品を買います。しかし今後海外からの輸入も難しくなるでしょう。中国経済はアメリカを始め多くの国の制裁によって疲弊して行くと考えられ、そこに依存し過ぎることはリスクです。だからこそ、現状の中国依存の半分でもよいから、できるだけ速やかな国内回帰か他国への分散推進が私の考えです。

 

中国は逞しくダイナミックで、有能な人材の豊富な国ですので、今後体制さえ変われば世界一有望な国になります。もし中国共産党が消滅した場合、新生中国がどのような国になるのかは分かりませんが、現在国境線を有する自治区は独立するでしょう。そしてその他の省が再編するかもしれません。31の省・自治区の全てを一つの政府で管理するのは至難の業で、共産党一党独裁だったからこそ可能だったのです。もし民主主義国家として生まれ変わる場合は、中国をいくつかの国に分割するか、合衆国にするしかないでしょう。アメリカをモデルとして生まれ変わるのが理想でしょうか。そしてそのときは世界のマネーが一斉に中国へ流れ込みますので、中国経済は一気に再生されます。そのときには迷いなく中国へ投資をするべきです。今の中国への投資は新生中国への裏切りとなるため、中国共産党がなくなった場合は戦犯として排除されるかもしれません。この判断は非常に難しいのですが、世界の動きから見て、このまま中国共産党が持続できるとは思いません。必ず年内に大きなうねりが起ると思います。

 

今後は1980年代頃からの中国を知る日本人として、昔の中国についても書いてみたいと思います。

それでは。。。