風があるせいか外気が少しだけ今までより涼しく感じます。
 
今日で閉幕となる「ヴァナディールの秘蔵展」に弾丸ライナーで行って参りました。
 

まずは開催場所の8階に進みますと以下のような大型スクリーンにFFXIが映っています。これだけで興奮してしまいました。ゲームのリアルイベントに参加すること自体初めての体験でしたので、身体は東京にいながら、心はヴァナディールに飛んでいるという、ふわふわした不思議な感覚を覚えました。

 

 

 

入場料を払う時、皆川先生の2種類の絵からどちかを選んでくださいといわれました。両方ほしいと思いつつ、思い入れのある「弟子」の絵にしました。

 

会場に入る手前に天野画伯のFFXIの特大の絵が飾られておりました。黄金色に縁取られた「中の国」が描かれており、微に細に描写されたモンスターや召喚獣、人間などとそのエリアの様子が丁寧に描かれておりしばらく凝視しておりました。

 

 

見慣れた「画面」ですが、一語一句丁寧に説明がされております。

 

 

 

 

会場に入るとFFXIの音楽が流れているのがわかります。まず目に入ったのはFFXIの販売されたパッケージ群と音楽のCD群です。全てが飾らせています。圧巻でした。21周年を迎えたゲームの歴史と刻まれた時に、ふと思いをはせました。

 

展示物は左右の壁にぎっしりと飾られており目移りしてしまいます。

 

「中の国」の原案などを見ますと、今とは異なる地理だったり地域名や町の名前だったりがわかり、私達が普段接してきたヴァナディールとは少し異なる世界が広がっておりました。

 

アバターの原案は、その画力に圧倒されます。こんな人の心を想像力豊かに掻き立てる絵をいつかかいてみたい。そう思わせる大変魅力的でキャラクターの存在感が強く表れた絵が所狭しと掲示されています。

 

三国やジュノ、セルビナの原案などを拝見すると、「ここの部分が現在の形に活かされてるんだ」「こういう円形の広場を中心として街が設計されていたんだ」「もしこのエリアが実装されていたらどんな景色だったんだろう」という感想がシャボン玉のように浮かんでは消え、ヴァナディールの世界観にどっぷりと心も身体ももっていかれました。

 

 

ヴァナディールの世界の次元に関する資料もございました。個人的に「ニヤリ」としたものがありました。それは、「冥界」とされる場所にオーディンがいることが示されているのですが、一方で召喚獣といった存在は別の次元に所属しておりました。

 

「蝕世のエンブリオ」の影の主人公とでも言うべきオーディンが、ヴァナディールを構想している段階から、ただの召喚獣とは一線を画す存在として扱われていることに驚くと共に約20年前に布石したこの世界の仕組みが、「蝕世のエンブリオ」という形で花開いたという流れを、FFXIの構想を練りゲームとして開発し始めていった開発者様達の中で一体誰が想像できたでしょうか。

 

開発者様といえど、オーディンがヴァナディールの世界と物語を広げる役割を担うまでに神格化されていくと想像できた方はいらっしゃったのでしょうか?またプレイヤー様の中にもヴァナディールでのオーディンの立ち位置がこれほどまでに広くて長い世界をもたらすと気づいた方はおられたのでしょうか?


オーディンをただの召喚獣としなかったことで生まれた「ヴァナディールの物語で展開された力学」を理解できる「冒険者」様なら、蛹の驚きに共感してくださる方もおられるかもしれません。

 

 

モンスターのコーナーもありました。アンティカ、ゴブリン、マンドラ、ドーモ君、芋虫、大鳥(シムルグ系)などの原案が複数も候補があったことが分かりました。私がすきなアドゥリンのドグマグちゃんも今私達が知っているより「おぞましい感じ」でデザインされており、この案が採用されず手足の短いかわいいドグマグちゃんにしてもらって良かったとなんだか安堵してしまいました。笑

 

モンスターの原案には、どんな生態でどんなものを食べているのか?視覚、嗅覚感知の設定。天候による挙動の変化。戦闘時の技名なども並記されておりました。蛹は、このモンスターのコーナーにいたく感銘をうけました。

 

というのは、ヴァナディールという虚構世界における虚構の生態学まで考察しモンスターを造形しているという点。そして、それが意味することは、虚構の世界観から、モンスターという存在を通してヴァナディールの世界観を戦闘のギミックや技などのゲームシステムへと「昇華」する手続きを目の当たりにできたということです。

 

どういう発想で、そのモンスターがそこに住んでいて、どんなことをしながら生きているのかまで考えた上でモンスター像を積み上げていったことが伺えました。それはさながら、創造主が被造物を彫琢していく過程をみているようで面白かったですし、ファンタジックなRPGゲームとはこのような地道な積み重ねによって生み出されているということを理解できました。

 

 

 

モンスターコーナーに対峙していたのは、飛行艇のミニチュアでした。飛行艇のミニチュア、販売してほしいですよね。

 

 

こちらはタブナジアの王国旗。旗の下が千切れているのが、タブナジアで起きた悲劇を思いださせます。

 

 

掲示物のほとんどは撮影許可がありませんでしたが、75時代をプレイされた方にとっては、次のお写真は感銘深いかもしれません。

 

 

原寸大の片手剣リディル

 

 

他にも貴重な絵コンテやキャラクター原案、エンブリオのタイトルにもなったプライムウェポンが描かれた原画、野村哲也様の描かれたジラートの兄弟の肖像画をみて回っていくと、暖簾が目に入ってきました。暖簾にはシャントット博士の台詞がつづられており、場をわきまえない自己主張の激しい博士のアピールに笑ってしまいました。

 

暖簾をくぐると

 

 

そこには、現役プレーヤーが興味を引くであろう展示物が満載でした。

 

まず目に入ったのが醴泉島で入手が可能な衣装群のデザインでした。

 

カイロン衣装には「アドゥリン英雄衣装 軍師」というようなタイトルがついておりました。

 

どうやら醴泉島でとれる新規グラフィックの衣装はアドゥリンコンテンツの中での実装を当初は意図していたのではないかという考察ができます。

 

ヘルクリア衣装は狩猟?狩のような言葉がついておりましたし、バロラス衣装には突撃、オディシア衣装には鉄壁、マーリン衣装は呪術とそれぞれの衣装のイメージやテーマとなる言葉が明記されておりました。

 

どこまでかいていいのか手探りしながら記事を書いておりますが、イロハのことを鳳凰姫と書いてあり、イロハの名前がつくまえの開発者様達の呼び名がわかり、さすが秘蔵展だと感じました。

 

現役の方が一番ご興味を引くだろうお話をいたします。

 

9月のヴァージョンアップで、マスタートライアルが実装されるそうですね。

 

実は今回の展示物にその報酬になりうるものがございました。

 

なぜそれがわかったかというと

 

既に実装されているマスタートライアル武器とともに、槍と両手刀のビジュアルが展示されておりました。しかもその絵のタイトルが「アストラルウェポン」(覚え間違えていたらごめんなさい)と明記されていたからです。

 

9月にどの武器種のアストラル武器が実装されるかまではわかりませんが、どうやら全てのアストラル武器のデザインは展示していないだけで、実はもうデータとして他の武器種のアストラルウエポンも用意できているのではないかと想像できそうです。このイベントを観に来られた現役プレイヤー様に、チラリと先行公開をされたのでしょうか?心にくい演出だと感心いたしました。

 

 

展示場を出ると物販コーナーが広がっておりました。ただ、蛹は会期末にきたせいかかなりの物が売り切れておりました。

 

ヴァナディールでも今回の秘蔵展もデュエルシャポーをロットすらできませんでした。涙

 

それでも明日の5日から受注受付注文が始まるとのことで、今回買えなかったアイテムを買おうと思います。

 

最後に

 

このような貴重なFFXIの資料を「冒険者」の私達に惜しみなく伝えてくれる場所をもうけて頂きまして、スクエアエニックス様および関係者の皆様に感謝申し上げます。様々な制約のある中、開催していただきありがとうございました。

 

ヴァナディールという世界がどんな段階を踏んでできていったのか?どんな人達が関わって生み出されたのか?

 

こうしたことに思いを馳せ、考察する喜びを味わうことができました。

 

数多くのゲーム開発のプロフェッショナル様達が誠意と情熱と命を費やしてこの世に現れたのがヴァナディールという「理想郷」だったということを深く理解できました。

 

このような世界がサービス終了とともに消え去っていいものなのか。この仮想世界を、平成に生まれたコンシューマ機での初めてのMMORPGとして残していくことは、猿楽が能楽に進化しても猿楽が残っているように、一種の「デジタル伝承文化」として残していけれないのか。

 

ヴァナディールをただ闇雲に遊ぶだけではなく、後世に残すという視点や希望を私達はもつことが望まれる時期にきてるのではないか。

 

「ヴァナディールの秘蔵展」は、そんなことも考える機会を与えてくれました。

 

 

アルタナ様がいるヴァナディールにいつでも訪れることができたら幸せですよね。

 

 

会場入り口に鎮座している「天野喜孝様のFFXIの屏風絵」

 

 

追記

・誤字訂正。(2023年9月4日、5日)

・加筆修正。(2023年9月4日、5日)