Topping10s を 改造したのは・・・ 2020年の事でした。

 

もう3年かぁ。

そろそろ後継モデルが出てきても良い頃ですが、

D10sをご利用のユーザーさんから「中高音が気になる」という

話を聞きました。

 

とはいえ、世間では評価が高いので もしかしたら

環境によるものかもしれません。たとえば PC側の設定です。

Windowsなら画面右下のスピーカーのアイコンを右クリック→「サウンド」

「サウンド」を左クリックすると「サウンド」が開きますので、

開いたら画面左上の再生タブを選びます。

そうしたら D10S を 右クリックして 「プロパティ」を左クリックします。

「スピーカーのプロパティ」が開いて「全般」タブが選ばれていますが、ここでは変更するところはありません。

隣の「レベル」を選択してみます。

レベルは弄る必要は普通は無いのですが、100で歪を感じる場合には

98に値を下げてみることオススメします。改善するかもしれません。

(収録レベルが 0dBに貼りつくような音圧の高い音源の場合には

100だと   Windows標準のピークリミッターが発動するので音質が悪化する事はあります。

98に下げると Windows標準のピークリミッターの発動を抑える事が可能です。)

最後に D10s の サンプリングレートの設定。「詳細」タブを選択します。

Youtube動画やハイレゾ音源を簡易的に楽しむ場合は

48000Hz(スタジオの音質) を選択してください。

CDをリッピングした音源をマジメに再生する場合には

44100Hz(スタジオの音質) を選択してください。 

 (ビット深度は 24ビット又は32ビットどちらでもOKです)

※音楽再生ソフト側で WASAPI排他モード や 

 ASIO を指定する場合にはこの画面の設定は無視されるので

 この画面の設定を気にする必要はありません。

ここまで PC側の設定のお話でした。

 

 

久しぶりに D10s と その前モデル D10 を 比較してみます。

D10↓

D10s ↓

比較そのものは以前にもやっているので、今回は少し違う視点で。

D10 と D10s を比較して すぐ分かるのは

部品点数が減らされている? という事です。

D10の画像に 赤い矢印 で 示したのは フェライトビーズです。

基板上では FB とシルク印刷されています。

 

 

フェライトビーズって何?という御方は

ムラタ製作所様のホームページより下記↓を参照ください。

見逃しがなければ、D10では存在した多数のフェライトビーズは

D10s では 省略されています。

ただし、これを以って 手抜きだ!と言うのは早合点ですのでご注意下さい。

D10sもそれなりにノイズには注意を払っていて測定値からもそれは少し伺えます。

GNDもデジタルとアナログで物理的に分けている様子でした(D10ではフェライトビーズでGND分離)。

 

とはいえ。。。 気にはなるので、

私は+5Vラインには フェライトビーズを復活させてみようと思います。

 

 

沢山ある D10とD10sの差異のうち

見た目で大きな違いはオペンプ出力の右側にあるミューティング回路。

D10はOMRONの信号リレーでしたがD10sではICになりました・・・。

このICをバイパスすると音質が良くなる事から私はミューティングICを好きになれません。

図:D10の信号リレー

 

図:D10sのミューティングIC

 

ちなみに信号リレーはAccuphase社なんかでも進んで?採用しています。

現時点のフラッグシップC-3850 のカタログ からもそれが読み取れます。

図:C-3850のカタログから一部抜粋して黄色い蛍光ペンを入れてみました(オレンジ色のが信号リレーです)

 

図:C-3850のカタログから一部抜粋(白い箱が信号リレーです)

 

図:広島のオーディオ店サウンドマック様のブログより Accuphase C-3850 の IV変換基板画像

 (白い箱がOMRONの信号リレーです)

 

 

 

おっと、

お話を聞かせてもらったユーザー様からD10s が

クロネコヤマト便で届けられました。

(私も D10sには我慢ならなかったので、

 改造してみようという事になってました。)

 

 

今回、

音が気に入らないのはPCからのノイズが原因として考えられなくもありませんが、

ハズレ個体で、実は故障していた・・・という可能性もあります。

(そう思わせるくらい、世間様の D10s の評判が異様に良いのです。)

 

とりあえず、届きました D10s の 歪み率を測定してみます。

松下電器のVP-7721A(歪み率の指示値が年々が高くなって修繕中の個とは別の個体です)を使います。30kHz LPF はONしています。

メーター読みで THD+N は、0.0005%です。

測定器の公称スペックを考慮すれば 0.001%は十分に達成している感じ。

 

こんな写真を紹介すると、

「数値が良すぎる!」「校正してないだろ!」

「インチキだ!」「測定器が壊れている!」

そんな批判を受けそうです。※少なくともYahooブログ時代はそうでした。

 

Yahooブログ時代の振り返り ここから

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拙宅のオシレータ(低周波発振器)を

中古で買ったんだろ。前ユーザーが改造したかもしれない。

などと言う人がいました。

終端抵抗を除去する改造がされているとかいないとか。。。

「テスターで出力端子で計ってみて下さい。それなら簡単でしょ。」

というので計ってブログにアップしたが、疑いが晴れても

 「疑ってすまんかった」 の一言もない。

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よほど自身に自信がある人なのかもしれませんが、機器が悪いと疑う前に

自分の頭の悪さを疑った方が良さそうな事例で想い出深い出来事でした。

最近だとPCで測定でもしようものなら(測定値が良すぎるからと)捏造認定されます。

マジックだとかトリックだとか言いたい放題。FFTの原理くらいGoogleで調べてくれ。

そうすれば測定値の読み取り方が分かるからさ。。。トリックじゃなくて文明の利器なんだけどなぁ。

Yahooブログ時代の振り返り ここまで

 

 

 

 

 

閑話休題。 確かに、

測定器が壊れていて 異常に良い数値を叩き出す可能性も

あるにはありますが・・・ そういう事を言う人は、

壊れていない事を確認する術を知らない のが 常です。

数値が妥当だという事を確認する術も知らない でしょうね。

わたしは素人であって先生ではない。

説明しようにも幾らスペースがあっても足りない等の理由で書きませんが、動画は雄弁に語るので、

此処ではとある測定風景の動画を紹介するに留めます。

こんな簡単な確認ですが、届いた D10s (と、測定器)は

故障している訳ではなさそうです。

※この動画が確認の全てではありません

 

状況を俯瞰しみると?

所有者の方が 「音質が気に入らない」 原因は

「①DACの性能」「②使用PCなど環境のノイズ・機器の相性」「③PC設定」 の

この3点全て?あるいは複数該当、あるいは1点該当のいずれかです。

 

 

動作確認して故障していたら、

本体に手を付けるのをやめるところでしたが

正常動作していそうなので早速改造に着手します。

(重箱の隅をつつくのはやめて下さいね。

 私は素人です。趣味で電子工作してるだけ。)

 

 

 

●フェライトビーズの設置 330Ω

時間が無くて写真がありませんが、下記3か所に挿入しましたです。

工作精度が悪いのか? 3個のうち右側の箇所が

GNDとの隙間(クリアランス)が全然とれていなくて少し難儀しました。

しかも左側から右側に目を移動していくと段々と狭くなってきているのが分かる。

 

●ミュートIC除去 (D10では白いOMRONリレーでした)

除去しただけだと 経路が途絶えて音が出なくなるので

潤フロン線でLとRそれぞれ切れていた経路をバイパスして繋ぎます。

 

●出力部1次LPFを構成

オペアンプの電源電圧を±5.6Vから±12Vにしたら・・・・

何故か高周波が出力に乗るようになったので気持ち程度にLPFを作っておきました。

もともとオペアンプ出力には直列に 30Ωがありましたが

そこを 220Ω(写真の221, 進抵抗RGシリーズ 1608サイズ  220Ω)に変更して

3300p の積層セラミックコンデンサー(ひときわ大きなセメント色)でGNDにおとしました。因みに D10では此処の抵抗は100Ωでした。

積層チップセラミックコンデンサ3300pF C0G特性(C3216C0G2J332J160AA)

積層セラミックコンデンサーというと敬遠される人がいますがここで使用している MLCC は C0G特性です。

十分にオーディオに通用する積層セラミックコンデンサーです。

※これは高周波漏れに対しては焼け石に水でしたが効果はあります

 そもそも普通のオーディオ機器でも高周波漏れはザラという話も・・・

 

●DC-DC電源の撤去(±5.6V, +10V)

写真は除去される前のものです。除去後は写真を撮り忘れました。

±5.6VとミューティングIC用の10Vを生成していましたが

外部から正負12Vを供給するので不要となりました。

 

●DC-DC電源の新設(±12V)  オペアンプ用)

LT3471 DC-DCコンバータモジュール(+12V/-12V)を採用しました。

最近のGaNでも採用されることの少ないなんと1.2MHzスイッチングです。

ノイズ対策部品(特にインダクタ)が小さく済みます。

もともと存在した DC-DC電源部の代わりにこれを使ってみたら

音声出力に高周波が少し乗るようになりました。

※この高周波は完全に可聴帯域外です

試しに、Thomannアンプで実績のある超ローノイズDC-DCに

変更してみても状況は変わらずでした。

どうして高周波漏れが分かったのか? 歪み率系で

30kHz LPF を ON に したときと OFF にしたときの 差が

激しくなった事から、それが分かりました。

(オシロで出力波形(0dB FS,2Vrms)見ていても気付かないです。

 -70dBの波形を観察してやっと明確な違いが見えてくる。)

下記の動画は、超ローノイズDC-DCを投入したときの様子です。

30kHz LPF を OFF にすると 測定レンジが2個ほど上がってしまいます。

無改造のときは、30kHz LPFを OFF しても レンジはそのままで

針がメーター読みで  0.002%前後の位置に移動する程度でした。

この歪み率計は THD ではなく、THD+N つまりノイズ込みで歪み率を評価しています。

(パソコン(PC)のオーディオインターフェースを用いた測定では基本的にこの可聴帯域外のノイズは観る事が出来ず、可聴帯域外のノイズはゼロという実際とは異なる前提を持ってしまうので、専用の歪み率計よりも  "良好な THD+N" を 指してしまいがちです。まぁこの事は誰に聞くでもなく普通なら気付くコモンセンスでしょうが。)

30kHzのLPFをONにしたときより、OFFにしたときの歪み率が大きいという事は

30kHzより上の帯域にノイズがある事を指し示しています。

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30kHz LPF THD+N  0.00042%(メーター読み)動画0:30

80kHz LPF THD+N  0.00079%(メーター読み)動画0:37

なし  LPF THD+N  0.0017%(メーター読み) 動画各所

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LPFなしのときは測定レンジが2個も上がってしまいましたが、

こうして数値で観ると、LPF無しでもそんな悪くない値です。

 

D10s が 

D10(オペアンプ駆動±8V)と比較して

オペアンプ駆動電圧を下げてきた背景が少し見えた気がします。

※作業ミスの可能性と、

 ミューティングICが高周波をブロックしていた可能性が否定できないので

 "オペアンプ駆動電圧を上げると高周波が漏れる"というのは"憶測"でしかありません。

 

●オペアンプ変更 (LME49720 →LT1364CN8)

秋月から購入可能でAmazonでも好評。私も気に入っています。

ただ、電源部に手を入れてこのオペアンプにすると低音寄りになって・・・・

低音が苦手な小型SPならそれでもバランスしてくれるのかもしれませんが

やっぱりバランスがキモチワルイのでこれの帳尻合わせが前述の

オペアンプ出力の 220Ωだったりします。

直列30Ωだったところ 直列220Ωにしたら低音がぶよぶよなところ

背筋がシャンとしました。

※同時に 3300pの積層セラミックコンデンサーも投入しているので断言はできませんが

 

POSCAP投入 (ES9038Q2Mのアナログ3.3V入力 AVCC_R と AVCC_Lへ )

中華DACでも左右それぞれに電源レギュレータICを使って 生成した 3.3V

を供給しているというのに、ここは1個の電源レギュレータICで 3.3Vを作って

左右にたこ足配線しています。この部分はESSがデータシートで電源の作り方を

書くほどに音質にクリティカルな部分です。独立電源を投入してもよいですが

時間が無いので、巨大なデカップリング(低ESRに限る!)を投入しよとしました。

前回は既存のチップコンデンサーに OS-CON SEPCシリーズ 100μF を

抱かせる感じで投入しましたが、今回は既存のチップコンデンサーは除去して

単体の 導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ(POSCAP) 470μ 6.3V に

完全に置換してしまいました。シリーズTPB、品番6TPB470Mです。

これでも改善の効果は目覚ましかったです。(LとRそれぞれに1個)

それでも最後の 出力220Ω での帳尻合わせは必要でした。

弄ると音質は変化しますが音のバランスというか纏まりを作るのはなかなか大変。

でも幸い、纏まりました!!

 

 

 

高周波漏れがあるといっても

THD+N メーター読み0.0017%ですし一般的には低歪みです。

それに普通のアンプだったら入力に高周波阻止のLPFが構成されていたり、

ハイエンドだと入力トランスがあったりするので

DAC出力というか外からの高周波対策は・・・・

受け側のアンプ類に対処を任せることにします。

 

ちなみに 

Thomann S-150MK2 は フランスのHomecinema-Fr の

novapampa氏が解析してくれたものがありますので紹介します。

 

図:novapampa氏の回路図の一部抜粋して黄色で色付け

 

オペアンプ入力前に 高周波をバイパス している事と、

高周波を増幅しない二つの事がこの図から見てとれます。

ですからCDプレーヤーやDACから多少高周波が出てきても

受け側の機器でも対策されていて?問題にならない事も多々。

それも気になるマニアもいらっしゃる。

 

とはいえ時間があまりとれないので

これくらいで切り上げて D10s 発送~♪

さてどうなるか・・・

 

 

編集後記:

3年経過した今回、改めてD10sの改造を検索するとありました!

新情報というか同好の士が(^^。特に novapampa様同様に

面倒な回路解析をしてくれました「魔理沙のきまぐれ研究所」様には

この場を借りて感謝を申し上げます m(_ _)m

私が+10Vが何処に使われているのか分からず、DC-DCの撤去に躊躇していたところに

まさに天の声となりまして・・・ 改造作業の時間短縮に激しく寄与したのでした。

魔理沙のきまぐれ研究所」様ではD10s前面の表示を取り外すと音質が改善するらしく別の表示方法にすげ替える計画を立てているそうです。(そこまで追及するなら電池電源の使用は必須になる感じですが今回はお気楽USBバスパワー駆動なので利便性を優先して表示部はそのまま手を付けませんでした。)

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