2020/10/10  18時40分:

D10とD10sのオペアンプ電源のノイズ波形についての記述に誤りがありましたので修正しました。

(ノイズ量はD10もD10sも同等だとしていたのが間違い。正しくはD10sの方が少ない。)

 

今年、モデルチェンジした D10 の新モデル D10s。

中身が別物に変わっていました。音質レビュー?は既報です。

DACのICまで変わってD10とは全く違う製品になっています。

 

今日はその箱の中身の比較をしてみましょう。

と、その前に Ameblo において記事内の画像を本来の解像度でみる方法を紹介します。

本日の記事は高解像度の画像が多く、本来の解像度で画像を開かないと見ないと何を言っているのかわかりませんので・・・。

【画像の開き方】 ※Chromeブラウザ

①記事内の画像を右クリックして「画像アドレスをコピー」を左クリック

②ブラウザのURLを入れる欄に「貼り付け」。

 .jpg より 後ろの 「?caw=800」 は、[BackSpace]キーでも[DEL]キーでも

 好きなのを使って削除して[Enter]キーを  ポーン!!と押します。

③画像が開きます。マウスを画像の上に持ってくると〇の中に+のズームの目印?がでてくて

 クリックすると勝手に拡大します。これで本来の解像度で見れましたので、後は好きなように・・・。

こうして本来の解像度にしてみると、D10s(上段)とD10(下段)の違いがやっと判ります。

外見上の違いは、表のプリントのみ。筐体は全く同じ。

 

【比較の前に】

Googleで「D10  D10s  違い」と入力して検索すれば、何が変わったのか簡単に調べられます。

補足する情報だけかいつまんで書いてみると・・・・

 

<オペアンプ駆動電圧>

D10 ±8.0V

D10s ±5.6V

 

<IC>

D10 ES9018K2M

D10s ES9038Q2M

 

その他スペック、ひずみ率やSN比なども順当に性能アップ?したらしいです。

提示資料を信じれば、という条件付きですけど。

D10は購入状態では普通のDACの音(コスパ高い)。オペアンプを交換すると

グッっと生っぽくなって超コスパのDACになっていました。歪み率もなかなか優秀。

 

D10sはそのモデルチェンジとあって、少し期待していましたが、

D10sの音出しをしてみると、D10の購入時点と比較するのも憚れるその低音質。

壊れているとか歪むとかでは無いのですが、すぐ使うのをやめてしまいました。

D10sのコスパ悪。(あくまで拙宅での感想です)

 

何が悪かったのでしょう?

それを考察する第1回が本日の記事です。

 

【比較】 以降、高解像度画像が続きます。

■D10

■D10s

 

パッとみて気が付くのは、2点。

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①姿を消した タンタルコンデンサー(黄色っぽい箱型)

②姿を消した OMRON信号リレー (RCAジャック近くの白い箱)

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①について、

タンタルは電解液が無くて大容量、非常に長寿命で温度によっても特性が安定しているので

測定器や宇宙向け?に使われる素材です。

(大容量が欲しいけど電解コンデンサーでは信頼性が不足するところに適用)

そしてタンタルは希少金属でもあるので、余計に大量生産品には使われない傾向があります。

それを惜しみなく使っていたD10に対して・・・。無くしてしまったD10s。

無料同然のチップコンデンサーと違い、タンタルはそれなりにお値段します。

https://store.shopping.yahoo.co.jp/nfj/o505.html 410円

 

ついでに・・・レアメタルのリンクも貼っておきます↓

 

②について、

リレーは高価なのでコスタダウンでしょうかね?

図:通販サイト Mototaro様よりOMRON-G6Kリレー画像を転載

 

なんかコストダウンの臭いがぷんぷんします。

とりあえず 最新の? DAC-IC 乗せておけ?みたいな?

 

それでもD10sとD10との比較用に提示されているスペックの向上は目を見張るものがあります。

 

Topping D10およびD10sの目玉?

USBの +5V から DC-DC変換により +8V GND -8V などの正負電源を採用して

オペアンプを駆動しているところ。

 

そこをを比較してみましょう。

 

■D10  (オペアンプは3個)

画面左側「DC-DC」が正負電圧を生み出すICです。

100μFの電解コンデンサー2個で電気的な 「ダム」 を作成したうえで、3個のオペアンプに電気を供給。

各オペアンプの近傍には 「砂防ダム」 的に、美しく黄色いタンタルコンデンサーが配置されています。

2つあるのは+側と‐側、正電源側と負電源側、2電源?だからです。

そしてオペアンプの直近にお決まりの小容量パスコン。

電気の流れが見える美しいコンストラクションです。

 

■D10s  (こちらもオペアンプは3個)

100μFの電解コンデンサー2個による電気的な 「ダム」 が消えました。

この写真の範囲にDC-DCはありません。もっともっと離れたとろこにそれはあります。

オペアンプ3個の左側に「3.3V」というシルク印刷があって何やら部品が

ありますがそれは、DACに3.3Vを供給するためのLDOとそのパスコンたちです。

オペアンプには関係ない部品なので無視してください。そうみると・・・

100μFの電解コンデンサーや、オペアンプ直近の黄色いタンタルコンデンサー

「ダム」 と 「砂防ダム」 が潔く削られていますよね?

いや、大きな「ダム」は遠いところにあってもよいのですけど、

小さいダムはやっぱりオペアンプの近くに欲しいものです。

電流の流れが見えない平凡なコンストラクションに見えます。

 

DACのICとその3.3V供給2本が見えたので・・・ついでに

Amazonで売っている数千円で買える ES9038Q2Mボードもみてみましょう。

 

ちょっと分かりにくいので D10s のそれと、これを左右に並べてみます。

設計者が、オーディオというものを理解しているのは、見ての通り

数千円のAmazonの方です。DAC-ICの近傍に電解コンデンサーでダムを作っています。

タンタルではコスト的な問題があるので、ここに音響用電解コンデンサーなどを使うのは現実的なオーディオにあっても問題ないパスです。D10sで褒められるのはLDOとDACが割と近い事くらいです。

しかし LDO は 負荷変動に対する追従が悪い のが定説なので・・・やっぱり大きめのダムは必要。

(ちなみに写真左側の D10s の 3.3V 2本は 4.7V → 3.3V のドロップで作られています。これがLDOだと判断したのはその入力・出力の電圧差の小ささからです。)

 

D10sは家庭用電気製品を作るには何も過不足無い設計に見えますが

オーディオ機器としては甚だ物足りないものです。

設計者は、音を知らない人間かもしれません。

 

 

【終わりに】

私は電気を習ったこともなければ、オーディオマニアでもない素人です

わたしが書いたことにはまったく見当違いで勘違いも甚だしい間違いである可能性もあります。

そこのところをご注意ください。

ネットには私以外に D10s を低評価する人はいまのところ見られません。高評価ばかり。不思議ですゲロー

オペアンプ交換したD10(D10sではない)をAmazonのニッケル水素電池4本直列で駆動すると

なかなかの美点を見せるのでデスクトップオーディオ(BOSEのM3)ではレギューラー選手になっています。

D10で唯一気になるところといえば、音質ではないところに1点だけ。

USB電源から オペアンプ駆動用の 正負電源を作り出すICが低ノイズタイプではないことでした。(LED点灯とかに使うやつ)

これのオペアンプ電源電圧をオシロスコープで観察してみると・・・・

■D10 

スイッチング波形が見える感じ。

(USBからのノイズを混入を避けるためUSBから給電せず、Amazonのニッケル水素から+5Vを供給して測定しています。ライン出力負荷はオープンです。)

まぁ出てくる音は良いのでいいですし、可聴帯域の遥か上(1~3MHz?)なのでまぁいっか。

■D10s

D10と比較して・・・電源ノイズレベルは全く改善されていません。 

→訂正:同じように見えますがD10測定時の電圧レンジと同じでなかったようです

(USBからのノイズを混入を避けるためUSBから給電せず、Amazonのニッケル水素から+5Vを供給して測定しています。ライン出力負荷はオープンです。)

 

追記:上記画像が不鮮明かつ測定レンジが見えなかったので・・・・

    測定しなおして綺麗なオシロ画面を貼ります↓

 

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

■D10  (トリガーが8VなのでD10と判別できます)水平 100ns/div,垂直50mV/div

注意:このデジタルオシロの電圧や周波数表示はオマケ程度です。しっかり/divで読むようにしましょう。

 

■D10s  (トリガーが5.6VなのでD10sと判別できます)水平 100ns/div,垂直50mV/div

注意:このデジタルオシロの電圧や周波数表示はオマケ程度です。しっかり/divで読むようにしましょう。

 

D10s。

音質はともかく、何も進歩していなかった訳ではないようです。

続く????

 

 

 

 

 

おまけ (D10sのオペアンプ電圧)

白文字で「二股」と書いた部分。ES9038Q2Mへの2系統の3.3V入力を

 

お安く1系統の電源を「二股」にして捌いている。別にいいのだけど・・・・

Amazonの基板を見てみると、しっかり分離しているのよね。

ピンの配置が「電源を分離してくれ」と言わんばかりなのですが、

D10sでは逆にDAC-ICのすぐ近くで結合させるところが素敵です。まるでESS社に喧嘩売っているかのよう。

 

ここはAmazonと同様に分離するのが定石のようです。

EFCノート様でも分離されています。

https://jo4efc.blogspot.com/2019/04/es9038q2m-dac.html

すみません。画像を1枚お貸しください・・・

図:美しいパターンでありお写真です(^^

あぁ・・・なんと!!EFCノート様がES9038Q2MのDACの回路図を起していらっしゃるではありませんか。それによると、この左右に振り分けられた電源はそれぞれ

 「右chアナログ電源」RchAVCC    「左chアナログ電源」LchAVCC なのだと・・・。

そりゃあ分離した方が良いよね!!

そういう視点で D10s の実物を見ているると、だんだん悲しくなってきます。

 『それぞれ』の chのアナログ電源には「100μF」の電解コンデンサーが定石らしいけれどそれもD10sには無いし・・・。そもそも電源が1体の二股供給だし。

そういう面で、Amazonの数千円の基板にも負けるD10sっていったい・・・。

もう1回貼っておきますか。D10sとAmazon。

ハイエンド系の単体DAC製品?は、

左右のchに丸ごと1個のDAC-ICを使う 『モノラル使い』 が多いので

そういう場合はこういう二股でも構わないとは思いますが。

今回のように一つのDAC-ICから2系統の音を出すなら、2系統の電源を用意したいのは『心情』です。これはあくまでも『心情』です。そこを強調するのは、自分は便利過ぎるので2回路入りオペアンプを沢山使っているから。(もちろんオペアンプに電源は1個だけ。それでも出力はと入力は2系統)。それは仕方ないとしても、ES9038Q2Mの電源は左chと右ch別々に用意されているんだよなぁ・・・。

新しいICを採用するのはマーケティング上は必要な事なのかもしれませんが、性能が出る出ないは実装次第なんではないかと?夢想するのでした。

 

 

 

 

次回、第2報。D10sの改善に挑みます。

https://ameblo.jp/nightwish-daisuki/entry-12630739786.html