このところ何故だろうか、
心痛む出来事が多く、
ましてやそれが永遠の別離ともなれば、
悲しみも深い。
たまたまなのだろうが、
何故か今頃になって昨年6月、
91歳で亡くなったSF作家、
レイ・ブラッドベリ氏の著作や関連記事等を目にする事が多かった。
あまりに多かったため妙に気になって、
氏のインタビューで構成された書籍を買い求め読んでいたのだが、
そこでメガネはある言葉にはっとしたのである。
“Live forever”…
「永遠に生きよ」。
この言葉とその逸話を知り、
メガネはやっと「腑に落ちた」気がした。
ブラッドベリは言わずと知れたSFの巨匠である。
彼が12歳の時、
サーカスで不思議かつ強烈な人物に出会った。
その名はミスター・エレクトリコ。
所謂見せ物小屋のマジシャンだった。
電気椅子に座って助手に電流を流させ帯電する。
逆立った髪のまま彼は子供達の肩や頭の上を剣でぺんぺんと軽く叩いてゆくのだった。
ある日最前列にいたブラッドベリに、
彼は剣を当てながらこう言ったのである。
“Live forever!”
他の子供にはそのような事は言わなかった。
幼いブラッドベリの心に彼の言葉が強く残った。
その翌日、
別の用件で家族揃って出かけている際、
またサーカスが興行しているのを見つけたブラッドベリは、
父親を振り切ってテントに駆けて行った。
駆け下りた先にはミスター・エレクトリコがいたのだ。
彼はブラッドベリにサーカスの仲間を紹介してくれた。
全身入れ墨男や空中ブランコをする者、
力自慢やフリークスなどなど…
彼らは後に全てブラッドベリの小説に出てくる登場人物となった。
そしてミスター・エレクトリコはブラッドベリに驚くべきことを言った。
「ああよかった、また会えたんだな」
ブラッドベリは会った事もないのに何故かとエレクトリコに問うた。
すると彼はこう言ったのだ。
「あるよ。親友だったじゃないか。
1918年のフランス、アルゴンヌの森の戦闘で君は負傷し、俺の腕の中で死んでいった。
22年前の話だ。
顔も名前も違っているが、その顔に輝く魂は昔とちっとも変わらない!
よく帰って来たな。」
帰る時、
メリーゴーランドの前に立ち止まった際、
涙が止まらなくなっている自分に気づいたそうだ。
その日帰宅して以来ブラッドベリは物語を書き始め、
そして彼はSF界の「巨匠」となった。
ミスター・エレクトリコの「永遠に生きよ」の言葉通り、
ブラッドベリの名は彼の作品とともに永遠の命を得たのだ。
永遠に生きるとはどういう事か、
解釈は人により違うだろう。
何故ミスター・エレクトリコはブラッドベリ少年にあのような事を言ったのだろう?
本当にブラッドベリはエレクトリコの親友の生まれ変わりなのか。
更に彼の帰還を喜んだミスター・エレクトリコの言葉通り、
ブラッドベリは永遠の命を得たという事実。
エレクトリコは気でもふれていたのだろうか?
全ての子供たちにそのような事を口走っていたのだろうか?
いや、
私はそうは思わない。
きっと本当にわかったのだ。
親友の魂が蘇ってそこにある事を。
その時が来たら、
そして出会ったら、
理由などなくともきっとわかる。
そういうものなのだ。
ここのところ悲しい出来事が多く、
気持ちの塞ぐ日々が続いてしまったが、
長い冬を経て、
いつかは春がやって来る事を思い出して頂きたく。
また、
悲しみに心の目を塞がれて、
待ちこがれた再会を見逃してしまわないように。
また会えるまで。
その時はよろしくね。








