時計じかけのジュヴナイル <9> | ワールズエンド・ツアー

ワールズエンド・ツアー

田中ビリー、完全自作自演。

完全自作、アンチダウンロード主義の劇場型ブログ。
ロックンロールと放浪の旅、ロマンとリアルの発火点、
マシンガンをぶっ放せ!!

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時計は止まってたんだ、秒針だけが震えながら前後していたけれど、長針と短針は凍りついて時間は止まってしまっていたんだ。
へり背をつけて、あごを引いて真下に目をやるとバースデイ・タウンが小さな庭みたいに見えて、そしてそのさらに下にはバースデイ・タウンを巨大にした街が見えた。

時計塔の下には巨人が住んでいる、それは噂なんかじゃなかった、そこにはアタマにネジのない巨人たちが西へ東へ行き来していた。
ときどき、僕のほうを見上げる巨人がいる。
違う。
僕を見ているんじゃない、時計を見ているんだ。
時計が止まってしまっても生きて動くことのできる人がいる。
じゃあ、僕らは、バースデイ・タウンって一体なんなんだろう……。

「そんなことはどうでもいいんだ、僕は凍ってしまった時計をなんとかしないと……」
口にしてはみたものの、どうすればいいのか分からない。
でも迷ってる時間なんてないんだ、僕は助走をつけて走り出し、全身をバネにするつもりで跳び上がった。
届かない。
落ちる……。
弧を描いて落下してしまう自分の姿が脳裏をよぎった、そのときだった、振り切れるほど伸ばした手に握っているペンダントのチェーンは長針の先、その矢印のかたちをした尖端に引っかかって、僕は宙に吊られていた。
手繰りよせるように、這い上がるように手を伸ばし、僕はその巨大な長針にしがみつく、手が痺れるくらい冷たかった、表面に氷が張った文字盤に体が触れ、あまりの寒さに僕は気が遠くなりそうだった。

どうせ、いずれ止まってしまうんだったら、無茶をしたってかまわない。
僕は体を振り子のように左右に揺さぶって、どうにかもう一度、時間を再開させようともがいていた。
ずっとずっと見ていたい笑顔があるんだ。


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時計じかけのジュヴナイル <1>
時計じかけのジュヴナイル <2>
時計じかけのジュヴナイル <3>
時計じかけのジュヴナイル <4>
時計じかけのジュヴナイル <5>
時計じかけのジュヴナイル <6>
時計じかけのジュヴナイル <7>
時計じかけのジュヴナイル <8>


illustration and story by Billy.


<つづく>