the sunshine underground / after life
ねえ、と僕は言う。
「まずはとんずら、でしょ」
すでに周囲は包囲されているようだ、ビルの屋上から、螺旋階段から、そして巡回しか能がないと思われたネイビーの軍服たちの数名がはばかることもなく僕らにその銃口を向けていた。
「火は用意されているみたいだな」
「タバコどころじゃないな、全身が灰にされちまいそうだ」
へへへ、逃げ場を奪われたとは思えない、ディータとガゼルは顔を見合わせ、くわえ煙草で笑顔さえも浮かべてた。
僕は思う。このふたりは死を恐れないわけじゃない。
自分は死なない、そんな過信があるわけでもない。
覚悟があるだけだ。彼らが生きたその足跡は、誰が隠そうとも語り継がれてゆく。“本当に生きた”人間は死後でさえ、その痕跡は決して消え去りはしない。
ディータとガゼル。ふたりはこの生と死の狭間にあって、その状況さえも飲み込み、余裕さえも漂わせ、きっと、死と戯れている、極限に慣れ、いまある命を楽しんでいる。
じゃあ、とガゼルが言う。
また逃げなきゃしかたないか、ディータが言う。
再生を遂げつつあるアンダーグラウンドのことなんて彼らはしらない、僕もまた詳しくはない、長い髪を振り乱してガゼルは言った、
「誰よりも速く走ればそれでいいんだ」と。
……続劇

