
継ぎ目から綿の出たソファー、通過するだけ汽車はずっと途切れない、
パステルカラーの車輌には、誰も乗っていないらしい、
眺める一点、爆ぜながら、どうにも胸が裂けそうで、
天井にシャンデリア、時を重ねた埃は落ちないままで氷柱みたいで、
ゴミを漁るネコに混じったシルキーシャツの老人は、
プラスチックのパールをいくつも首から下げていた、
“次の列車の到着はいつになるか分からない、
なぜなら通過中の汽車に終わりないから”
アナウンスは走り去る汽車の轟音かき消され、
シャンデリアに巣をつくったツバメが何羽か巻き込まれてた、
ソファーを独り占めして眠り続ける彼はジラン、
ここから何処かへ旅立つつもりの旅人たちを見つめてる、眠ったふりで見つめてる、
“あんたら何処へも行けやしねえさ”
煙に紛れる独り言は通過してゆく汽車に消されず、
待ち合う人々振り替える、
唇ゆがめて乾いたそれを舐めてから、ジランはようやく体を起こす、
非難に詰め寄り輪になる人々、ジランは邪魔くささを隠しもせずに言い放つ、
“だって、あんたら、手にした全てを持ったまんま行く気だろう、
何処か行くつもりなら、ほとんど全てを棄てなきゃダメさ”
ジランは駅のなかにいて、旅立てない人、眺めて今日もせせら笑う、
“帰る場所と用意があるなら、あんたらずっと留まってなよ、
悪いことは言わないからさ”
performed by Billy.