なぜなのか分からない、ずっと前のことなのに、いまだにハッキリ覚えてやがる。
なんだってさ、そんなふうに手に入れたんだ、いいか悪いか、そんなことは考えもしなかった、他に方法なんてなかったんだ、そんなのって分かるかい?
どこかのイカレたロックンロール・バンドと同じさ、それがスタートだって思ってたんだ、それはいまも変わらないよ、大好きなパパやママからのバースデー・ギターなんて音は鳴らない。
ロックンロールは汚した手から鳴りはじめるって決まってる、だからリアルがあるんだよ、俺らはお上品にクラシックをやろうってわけじゃないんだ。
悪いバンドじゃなかったよ、良いバンドでもなかったけどさ、退屈しのぎにはなるパンクをやっていたんだ、週末、ヒマを持て余した不良たちを夢中にさせるくらいにはね、別にそれ以上なんてなかったよ、安くてもアルコールは好きなだけ、記憶をなくすまで飲むのが流儀ってヤツなんだ、いまでも間違っちゃないって気がするよ。
今かい? 今はギターは弾かなくなった、もうコードすら覚えちゃいないよ、売れなかったレコードはいまだよく聴く、あれが俺のすべてだったような気がするよ、バンドを解散したあとには何もないまま時間だけが過ぎてった、すっかりジジイの仲間入りだ、時間は待っちゃくれないんだ。
これからどうするって?
どうもしないよ、ひとつだけだよ、生きるだけさ、死んでも伝説にゃなれやしないし、なりたいわけでもないんだし。
ただ生きる、それだけさ。枯れ木みたいに老いぼれて、それでもビールとタバコで生きるんだ、他に何があるって言う?
答があるなら言ってみなよ、俺らはさ、地獄の季節を生き延びたんだ、
あとはただ無駄だとしても、生き延びるだけなんだ、それだけだよ、生き延びるって決めたんだ。