光なくした灯台下の防波堤、杖をついたかつての船主が眺めてた。
何を見てるか誰も知らない、だけど半世紀も見続けてる。
美しく書き換えられた記憶と共に、波打つ光を眺めてる。
散らばる波に乱反射、砕けて光る太陽は沈む時間を気にしてた。好きに落ちなよ、誰ともなく呟いては世界に夜がやって来る。
書き消すことのできない夜を、今日の夜も憶い出す。
嵐の海に沈んだ船を、引き揚げてくれるまでは見守っている。
そのなかには彼の想いが眠っているから、見つめる目が開いていても、時間はずっと眠らせている。
夏の日、太陽に挑まれて、
雨の日、体を凍らせて、
カミソリ風に傷つけられて、
それでも船が浮かび上がるを待っている。
魂を掬い上げてくれ、誰でもいい、彼の魂を掬い上げてやれ。