子供達は満月追って夜の向こう側に走ってく。月の地名はだいたい全部覚えてて、土地を買ったアメリカ人なんて知りたくもないって話してる。
波の上でゆらゆら楕円描く海、オイルが流れたみたいに黒い。
月はちぎれてる。
もうすぐ世界は終わるのなんて、童話みたいな囁きで、国籍なくしたフェイは言う。
たどり着いた港の近く、朽ち果てたスローボートが揺らいでた。
灯台にひかりはなくて、猫が夫婦で暮らしてる。
あの日、港についた夜、流れ星が見えたんだって淋しそうに目を伏せた。結局、この国じゃ何も良いことなかったけれど。
潰れたワゴンが錆びつきながら波を割る、そんな景色を眺めてる。
流れついたボトル、原色だらけが月のひかりに照らされて、波打際でオーロラみたい。地上に咲く銀河のカーテン。
ポケットに入れたままだったクッキー、分けて食べよう。バッグにオレンジ入ってる。
ねえ、夜が終わるよ。
太陽は欠伸しながら、月は無口に沈みながら、時間をリレーする。
夜が終わる。
夜は明ける。
今日をまた手に入れて、僕らは水平から泣く風を浴びている。
夜が終わる。
まだ生きてるって、冷たい風にさらされた肌がまた告げている。