その檻のなかにいる生き物たちは牙を抜かれ、与えられる餌で空腹を知ることもない。
消毒液で体を洗い、不快な臭いを漂わせることもない。
飼育係を襲えば殺処分にされると分かっているし、愛想よくしていれば、追い出されることもない。
休日にはボールで戯れ、御主人の機嫌を損なわなければ死ぬまで安泰。
野生に戻りたいなんて思わなくなって、剥く牙はもう失った。
毛づくろいして小綺麗にしていれば、狭さに慣れてしまえば、こんな楽な生き方はない。
抗生物質で無菌にされた生き物は、無傷で生きていようとしてしまう。
飼い馴らされるに抗わなければ、檻のなかも悪くない。
さあ、俺に餌を投げろ。
じっと見てるだけじゃ、芸はやれないね。
野生なんて忘れたんだ、さあ、何かくれよ。
飼い馴らされた生き物は今日も愚痴をこぼしてる。
飼い馴らされた生き物は歯のない口を広げて笑ってやがる。