前回迄 初恋から二年近くでやっとできたのは年賀状だけ。勉強は塾一つに遊びは色々。がり勉と思われたくなくて睡眠時間を削って読書という日々だった。

 

彼女は卒業していった。もうどう足掻いても運があっても顔をちらりとでも見られなくなった。

そして私は高校受験の年になる。成績は良かったが地元の高校に行くことは考えなかった。市中にある進学校に行こうと決めていた。

父の異動がなかったら一人でも行くとの決意だった。

白い本(手書きの詩集)は半分ほど進んだが、このころは過去の詩を読んでは泣いていた。

たいして勉強はしなかったが読書量だけは自信があった。関西中学一斉テスト(通称奈良文庫)で237点で学年1位になった。授業をキチンと受け受験問題の本を買って勉強をすることを始めた。かすみさんを忘れたいと思ったことも数知れず。浮かばない日は一日もなかった。

 

今年も年賀状を出した。返事は望外の内容だった。明けましておめでとうはお決まりなのだが、「愛する人の胸を離れて今旅に立つ私・・・」

屋根の裏のヴァイオリン弾きより。受験頑張ってね。 東城かすみちゃん と書かれてあった。

私は胸の痛みと荒れた生活を反省し最後の追い込みに力を尽くそうと誓った。彼女が住んでいるであろうA市に何が何でもいくと決めた。