『さらば若き日よ』
あれから十年経ちましたね
激動の青春時代でしたね
今と成れば
あの頃の元気は朽ち
張りの有った肌は朽ち
青春に別れを告げた口
あの日の思い出は朽ちました
あれから十年経ちましたね
平穏な中年時代です
今と成れば
この頃は婚期が満ち
張りの有った腹は満ち
中年が疲れ音を上げた道
この日の重い腰は満ちました
あの頃の面影は朽ち
あの頃の衣服は
満ちてしまいましたね
『白い息』
澄んだ空に
明星が輝き
蒼い月が流れ
私は白い息を吐く
止まる事の無い流れ
真夏の太陽に
熱を帯び
真冬の月に冷やされ
私は白い息を吐く
熱を帯びた気持ちは
何時かは冷めて
溜め息となり
消えてゆく
温もりは儚いと
それでも空と共に
流れねば成らぬと
また熱を帯びるで
有ろう
そして白い息を吐き
熱は又
冷めてゆく
『氷の華』
一生を終えた魂は
天に昇り
身は土へと帰る
身を無くした魂は
空で嘆いた
“哀れむ事なかれ”
“悔やむ事なかれ”
命にこだわった魂は
華に姿を変え
地上へ降りそそぐ
身を持たぬ華は冷たく
氷の華は土を覆い
悲し泣く声が
隙間をすり抜ける
地上に光が射し
陽が命を説く
“無駄な命なし”
癒されてゆく魂
氷の華は溶け出した
涙を流すかの様に
涙は土に染み
新たな命を生む
“魂は受け継がれ”
そして……
“花を咲かせた”