思い出の花 -82ページ目

一時代


夜中に たまたまチャンネル回して拾った電波
ラジオから流れる彼女の声に心踊らせ その日から固定されたチャンネル
顔も知らない彼女の声は頭の中に美しい女性を映しだし 週一で逢える彼女に僕は恋をした

よく遠距離恋愛は続かないと言うが いつからか雑音が言葉を薄くし とうとう音信が途絶えた
アフガンの乾いた風が吹き抜けてゆく

切なさと憎しみはラジオを手榴弾に変え 飛び散った爆弾は窓硝子を割るほどの衝撃 さすがはMADE IN VIETNAM(ベトナム製)のラジオ もはや戦場

彼女を救出するためゲリラとなって親の財布に忍び寄り ラジオを買いに走った
劣勢の戦場で壊れてしまった通信機
絶望の中で遂に新たな通信機を手に入れた喜び
急ぐ気持ちを押さえながらチャンネルをチョッチ チョッチ回しても彼女には繋がらない
何度も何度も試みるが意味の分からない異国語の妨害電波が邪魔をした

“もしかしたら番組が終了したのかも知れない”

頭の中から彼女の姿が消えた日 シベリアの冷たい風が吹き抜けた
それからの僕は現実に向き合う様になり テレビの映像を毎日眺めた
彼女への想いをツンドラに封印して
思春期はラジオと共に
風と去りぬ

川流れ


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山頂に降り積もる雪は
溶ける事を未だ知らず
風の冷たさに氷と成り
過去を閉じ込めている
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氷に射す◆一筋の光り
温かく◆心を溶かされ
一雫◆零れ伝う想いは
昔◆氷に封印した恋心
今◆光りは一層強まり
熱が◆上がり始めてる
想いが◆溢れ始めてる
気付かず◆動揺する私
動き始めた◆輝く水は
胸にせせらぐ◆川流れ
時に流れは姿を◆変え
茂みを伝う刹那の◆波
淀みを漂う永劫の◆漣
下流は穏やかに◆流れ
一雨落ちれば◆心乱れ
振り向かず◆直走る私
川に似た◆恋の感情は
結末の◆海へと注ぐ道
海は◆川よりも波高く
心◆渦巻くと知らずに
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海岸に沸き起こる波は
沢山の物を飲み込んで
熱い浜辺に残す足跡も
果てなき海へ連れ去る
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頬染めて


花は咲かないんじゃない
花を咲かせないんだ

見つめられた蕾は
恥ずかしくて閉じたまま
花を咲かせたら
もっと見つめられる

知らないふりして
後ろ向いてたら
きっと花が咲くよ

咲いたからって
見つめ過ぎないで

視線に耐えきれなくて
いっぺんに花びらを
パァッと
散らしちゃうから