彼らは
私を眺め
細部まで観察をした
長年過ごした
居心地の良い場所から
出ていくのは
勇気がいる
できることならば
永遠にここにいたい
だから私は
なるべく目立たず
音を立てずにいたのに
彼らは
明日
私をどこかに移すようだ
産みの親は
はるか昔に
冷たい墓の中に入ったのに
私はいつまでも
誰かの目に晒され続けている
私に残された
わずかな楽しみは
闇が地上を覆う
静寂の時間に
そっと額縁から抜け出て
部屋の中を歩き回ること
明日
朝の光が指す頃には
私は何百年と変わらぬ姿で
額縁の中にもどることだろう