希望する音大に入学し

 

ある授業でA君と席が隣になった

 

男性にしては髪が長く

 

笑顔が可愛らしい

 

すぐに仲良くなり  

 

お互い1人暮らしのアパートを行き来して

 

授業の課題に楽しく取り組んだ

 

❀さて、ここで音大あるある(*^^*)

音大というのは一般大学と比べると、楽器の伴奏やリハーサルなどでお互いの家を行き来する、つまりは年頃の男女が密室で過ごすというのはよくある光景です❀

 

A君が私の部屋に来たときは

 

本当に何のおかまいもせず

 

もしかしたらお茶すら出さなかったかもしれない

 

しかし私がA君の部屋へ行くと

 

手の混んだ煮込み料理が出てきたり

 

センスの良い調度品

 

隅々まで行き届いた掃除

 

レースのついた洗面所のタオル類

 

自分が女として恥ずかしくなるのであった

 

気の合う友人として時を過ごし

 

夏休みに突入

 

1ヶ月後に授業で再会すると

 

A君は髪をバッサリと切って短髪にしていた

 

男らしい顔になっていてドキリとする

 

カッコいいね!と声をかけようと思ったが

 

それは言わないほうが良いと私の直感はささやいた

 

「何かあった?」

 

私が話しかけると

 

A君は少し悲しげに

 

「片思いをしていた彼に振られたんだ」

 

と答えた

 

やはりそうであったか

 

出会った時からもしかして、と感じていた

 

「A君は私よりも女子力が高いから、きっと素敵な彼が見つかるよ」

 

とA君をなぐさめた

 

そんなA君は卒業後ヨーロッパへ渡り音信不通

 

お〜い!どうしてるの〜?