2024年5月4日(土)【PART1】
憲法記念日の昨日までの憲法改正についての各報道を見ると、非常に漠然とした議論で、具体的にいうときは、すぐに「9乗」の話に矮小化してしまいっているのですが、それ以外の条文も具体的に見ながら報道しなければ、単なる報道企業の意見表明でしかなく、"ジャーナリズム" とはほど遠いものと言わざるを得ません。
この時期や、議員が不祥事を起こしたときなどには、私はいつも、次の条文を持ち出します。
憲法第15条(公務員の選定罷免、公務員の本質、普通選挙、秘密投票の保障)
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
② すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
③ 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
④ すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
ここでいう「公務員」は、いったい誰のことでしょうか?
議員なら「議員」と書けばいいのに、わざわざ「公務員」にしています。
英語版でも、ここは public officials となっていて、議員の場合は、member(of both Houses=両院議員,of the assemblies=議会の議員 など)となっています。
第2項はよく引き合いに出されるものです。そのときの「公務員」は、明らかに、末端の公務員まで含みます。
第3項と4項は、国会や地方議員、知事の選挙として実行されています。
同じ条文の中の「公務員」の意味が、何の説明もなく段落によって異なる解釈をしなければならない、というのは、あり得ません。
「国民固有の」権利、というのは、非常に強い表現にも感じられますが、外国籍の人は除く、という意味があるのでしょう。
さて、これと、第16条も見ておきましょう。
憲法第16条(請願権)
何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
憲法を一字一句変えるべきでないという、いわゆる "護憲派" は、憲法を文書として保護するのであって、内容を "順守する" という意味での "まもる" ではないように、私は感じます。
憲法を変えないというなら、末端の公務員までも選定・罷免する「国民固有の」権利をきちんと行使できる仕組みづくりを、16条にある権利として、堂々と明確に目指すべきです。
もし、末端の公務員まではおかしい、というなら、憲法を改正するしかないでしょう。
ただ、憲法の保障する自由や権利は、絶対不可侵というものではないことが、同じ憲法の中でしっかり規定されています。これについては、次のブログで述べます。■