新感染者が10人とか5人とか、毎日報道されますが、それが、1000人検査して10人・5人なのか、100人検査しての10人・5人なのか、まったくわかりません。
 1か月ほど前だったか、検査数を発表しないのは、その日判明した新感染者がいつ検査したものなのかの日付の対応まできちんと集計ができないから、というような話を聞いたことがありますが、それはそれで、「新感染者がいつの検査で見つかったのかという日付の対応が一致しているものではない」という注釈付きで発表すれば、大雑把でも見当がつくでしょう。数日のずれがあったって、長い間の変化を見るのには支障はないでしょう。
 そして、緊急事態宣言解除の目安が、直近1週間の新感染者数の合計が10万人あたり0.5人以下というのですが、これも、人数ではなく検査数に対する新感染者数の割合にしないと、目標達成のために検査数を調整するなんてことも可能なわけです。

 16年前、学校の教員を敵視するある新聞は、「指導力不足教員 最悪481人」「前年度比1.6倍」という見出しの記事を1面に載せました。
 その内容は、平成14年度(その新聞は西暦も嫌いのようです)には289人だったのが、15年度には481人になった、というものです。
 しかしよく見ると、そこには、そうした教員を認定した教育委員会の数も載っており、平成14年度は23、15年度は52となっています。
 つまり,調査・認定した教育委員会の数は2.2倍以上に増えたけれど、指導力不足教員の数は1.7倍弱にしか増えていないというわけです。1教委当たりの人数は12.6人から9.3人に減少しているのです。

 新型コロナウィルスの新感染者数も、これと全く同じ理屈です。人数が減ったと喜んでいても、「どれだけ調べた結果なの?」ということを無視したのでは、統計的には全く信用できないということなのです。
 日本の報道各社は、何も疑問に思わないのでしょうか?
 それとも、報道・ジャーナリストと言っても所詮は営利企業、経済優先ということなのでしょうか?
 先月、「国境なき記者団」は、2020年の「報道の自由度」について、新型コロナウィルスの世界的流行によって報道の自由が阻害される状況がより際立ってきているとし、世界180か国中、日本は66位(前年67位)で、メディアとあれほど対立しているトランプ政権の米国45位よりも低い結果になっています。
 私は心配しています。■