冬眠するクマ、しないクマ(トラウマへの対処機能) | あなたは「幸せ」ですか それとも「不幸せ」ですか...  ニコラスの呟き...

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いつの間にか前期高齢者になっていました。65年以上生きてみると 色んな事を経験しました。「達成」「失望」「離別」「病気」...
それぞれの経験に意味があると最近思います。お会いすることのない、どなた様かのお役にたてば幸いです。      

 

下記の記事は

2015年06月02日(火) 掲載の

トラウマへの独自の対処機能… ( クマの冬眠 )に修正加筆したものです。

 

 

うつ病は一般的に「半年ほどで回復する」といわれている。

 

厚労省の議事録(1)にも

 

「統合失調症、うつ病の疾患は全て8割が回復する。うつ病は6カ月以内の回復は74%という結果」と記述されている。

 

事実、うつ病は、「生物学的薬物治療」以前「一般的に半年ほどで回復する」疾患だったとするデータは多く存在する。

 

しかし「うつ病だと診断」され、精神科を受診する者の多くは、6か月以上、または何年も回復しない、或いは症状が「悪化」する。

 

その原因は「精神科治療薬」であると、多くの専門家が何年も前から注意勧告している。

 

つまり薬物治療が「精神障害」の主要な悪化要因であることは23年前のWHOの勧告に始まり、

多くの「研究所」や「大学の研究者」が下記の通り指摘している。

 

(引用 : Anatomy of An Epidemic)

 

▼統合失調症の転帰は、継続的な薬物治療が標準的治療であるアメリカなどの富裕国よりも、抗精神病薬を定期的に服用する患者が16%に留まるインドやナイジェリアなどの貧困国の方がはるかによい。

1992年 WHO(世界保健機構) 

 

▼うつ病患者547人を対象とした6年間の研究によると、積極的な治療を受けた人は治療しなかった人に比べ、「就労不能」となった人が約7倍、「基本的な社会役割の中断」が3倍である。

1995年 NIMH(アメリカ国立精神衛生研究所)

 

▼疫学的研究によると今日の双極性障害の患者の長期的転帰は薬物療法時代以前よりも著しく悪い。現代の方が転帰が悪い原因は抗うつ薬や抗精神病薬の有害な影響と思われる。

2000年 ハーバード大学

 

▼15年にわたる研究で、抗精神病薬を「服用しなかった」統合失調症の患者の「40%」が回復したのに対し、「服用した」患者の場合は「5%」だった。

2007年 イリノイ大学 

 

▼ADHDと診断された子どもを対象とした大規模な研究によると、3年後では「薬物の使用は、良好な転帰の指標ではなく、悪化の指標であった」。また薬物治療を受けた子どもは非行動な傾向が強く、身長がやや低かった。

2007年 NIMH(アメリカ国立精神衛生研究所)

 

前回の記事で紹介した「ローレン・モッシャー」氏は、「精神病は情緒的な内面のトラウマへの反応として生じるもので、独自の対処機能とも考えられる」とみなしていた。

 

人は身体に危険が迫ると、逃げたり、蹲ったり、すくんだりする。また嫌な音には耳を塞ぎ、おぞましい光景には目を背ける。 

 

同じように精神に対する危険やストレスにも独自の「対処機能」があるというのがモッシャーの考えである。

 

ストレスに対する「独自の対処機能」は人間に限られたものではない。

 

生物の多くは危険などのストレスに対し「独自の対処機能」を備えている。

 

危険を察するとダンゴ虫が丸くなったり、カメが頭と手足を甲羅の中に引っ込めてじっとしているなどは、その分かりやすい例だろう。

 

「クマの冬眠」もそうかもしれない。 

 

大昔、「冬眠するクマ」と「冬眠しないクマ」がいたのだろう。

 

「冬眠しないクマ」は、秋も終わりを告げる頃、鮭も遡上しなくなり、木の実も食べつくし、日々腹を空かせエサを探し求め歩きまわった。

 

毎日が「空腹」というストレスに見舞われていた。

 

秋に蓄えた「脂肪」も春になる頃には歩き続けたために殆どなくなってしまった。

 

春を迎える前に多くの「冬眠しないクマ」は死んでしまったのだろう。

 

「冬眠するクマ」は、エサ探しに苦労するこのない実りの秋、

鮭や木の実のなくなる冬に備え毎日腹一杯食べ、可能なかぎり脂肪を蓄える。

 

木々の紅葉や朝夕の寒さで冬の訪れが近いと察すると、春まで身を潜める穴倉を探す。

 

エサが無くなり「空腹」というストレスを感じると、「冬眠するクマ」は、その穴倉に「引きこもる」。

 

春を迎えるまで、引きこもり眠った。こどもを授かったメスクマはその穴倉で出産した。

 

人間は「それ」を「冬眠」と名付けた。

 

そして「冬眠するクマ」は、多くの子孫を残すことができた。

 

これが「冬眠するクマ」の子孫に受け継がれた、遺伝子に組み込まれた独自の「対処法」である。

 

人間社会では、動くこと諦め、ただ引きこもることを「逃避」とか「社会適応力の欠如」などの言葉で済ませ、

クスリの服用が必要な病気だとする。

 

冬眠するクマは「うつ病」なのか?

 

私の場合、振り返ってみれば、身体が悲鳴をあげていることを素直に認め、

副作用の多い精神科治療薬など服用せず、1カ月ほど静かに療養すれば

(現実問題としてそれができなかったのだが…)、半年ほどで治っていたと今では思う。

 

うつ病などの精神疾患を「トラウマへの独自の対処機能」と捉えた「有効的な治療」ができるなら、

「うつ病」は生物学的薬物治療がなかった時代のように半年ほどで回復すると私は思う。

 

もし今のあなたが、毎日様々なストレスに見舞われ、今の自分は「うつ状態」だと感じているなら

穴倉に引きこもったクマのように「冬眠(引きこもって何もしない)」することも一つの選択肢なのかもしれません。

 

 参考になれば幸いです。   nico

 

 

(1)厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001hd7o.html