本書が伝えようとしているのは、ある種の医薬品の作用であり、それらの医薬品が個人・社会・地球全体の健康におよぼす影響についての物語である。一般診療や精神科医療においてみられる不安や不眠、抑うつ、およびこれに関連する精神的苦痛に対して処方される医薬品にまつわる話をとりあげる。
19世紀半ばから予測可能な未来までを扱う。
この間、物語に登場する薬剤は移り変わり、その着想や役者はさまざまに変化したが、同じパターンの反応が繰り返され、結果もまた似たようなことになっている・・・ クスリの使用者は常に敗者であり(普遍的にというわけではないが)ほとんどいつも大敗するのが決まりだった。
事実としても、ここで扱われるすべての薬剤は何らかの依存を引き起こす。
人々が虜になるのは薬剤自身の力によるだけでなく、薬剤が精神的苦痛を消散させてくれるという観念のせいでもある。
権力と依存の微妙な相互作用が、あたかも『善意の陰謀』とでもいうべき力を通じて『病気作り / 薬漬け』のプロセスを促進しているのである。
医薬品の中核には、恐怖、冷感、信頼、希望、夢などの底知れない混合物を基盤とした、この繊細だが強力な相互依存がある。
『善意の陰謀』の根底にあるのは、薬剤は安全かつ有効であるべきであり、それ以下の何物でもあってはならない、という全ての医療当事者(保健医療専門家、政府、製造者、使用者)の熱い願いである。
そしてその下には、飽くなき欲望、満たされぬ欲求、失望した期待、また時には、物事がうまくいかない場合の強引な拒絶といったリスクが横たわっている。
『暴走するクスリ?』第1章 (15P-16P)
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クスリの使用者は常に敗者・・・ この4年間で痛切に体感した。
すべての薬剤は2週間以上服用すれば何らかの依存を引き起こす。これは多くの専門家が指摘している。
しかし私たちがクスリを何の疑いもなく服用し続けるのは刷り込まれた「観念」のせいである。
権力と依存の微妙な相互作用・・・
クスリを開発する製薬会社、医師という特権で処方する精神科医、処方されたクスリに依存する患者
微妙な相互依存関係が構築されている・・・
そしてその繊細だが強力な「相互依存」関係が『病気作り / 薬漬け』のプロセスを促進しているのだ。
薬剤は安全かつ有効であるべきであり、それ以下の何物でもあってはならない、という全ての医療当事者の熱い願いが叶うときは来るのだろうか・・・
諦めたら終わり・・・ わたしはそう信じている。
Nico