「2010年医療用医薬品市場調査(2)」
という文書を、なんとか潜りこんで読んでみた・・・
以下、注目部分を抜粋しました。
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総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 阿部界代表取締役)は、医療用医薬品の国内市場を今年1月から2年かけて6回に亘り調査を行なう。
第2回の今回は、市場が大きく、社会的関心の高い精神神経疾患治療剤を始め、新たに市場拡大が予測される多発性硬化症治療剤、脳疾患治療剤、消化器官用剤の市場を調査し、報告書「2010 医療用医薬品データブック No.2」にまとめた。この市場分析は、エビデンス(調査研究に基づく、医薬品・治療・検査方法などの適正判断用証拠)・診療ガイドラインの動向、患者数推計・予測、企業の製品開発力などを考慮して行なった。また行政の動向やジェネリック医薬品の浸透度、スイッチOTCの現状など、この市場に影響を及ぼすと考えられる要因を詳細に分析した。
◆調査結果の概要
(1)精神神経疾患治療剤
抗不安薬・睡眠導入剤、抗うつ剤、統合失調症治療剤、他の向精神薬、抗パーキンソン病剤、抗てんかん剤、片頭痛治療剤を対象とする。
精神神経疾患治療剤
2009年ー4,324億円 2010年見込ー4,532億円 2018年予測ー 5,589億円
09年実績では統合失調症治療剤が29.6%で最も大きく、これに抗不安薬・睡眠導入剤24.3%、抗うつ剤23.4%、抗パーキンソン病剤12.2%と続く。上位4つで90%近くを占める。
統合失調症治療剤は、10年にはこの分野の販売の30%を超えると見込まれる。この治療剤の実績が伸びているのは患者数や処方数の増加よりも、第一世代抗精神病剤(定型抗精神病剤)から薬価の高い第二世代抗精神病剤(非定型抗精神病剤)へのシフトによる。第二世代抗精神病剤は、第一世代に比べて、日常動作障害の副作用が少なく、感情の起伏が失われ、気力が低下する陰性症状や認知機能障害への効果がある。
抗不安薬・睡眠導入剤では、睡眠導入剤のウェイトが60%を超え、市場は拡大しつつある。抗うつ剤は、08年の薬価の引下げや、副作用報道の影響により縮小した。しかし慎重な処方・投与により副作用(自殺など)を防ぐことは可能であり、今後は再び拡大していくと考えられる。抗パーキンソン病剤は、この分野の第一選択薬であるドパミン受容体刺激剤が販売の50%近くを占めている。
精神神経疾患は、治療患者に比べ潜在患者が非常に多い特徴がある。症状が軽度の場合、自分が罹患している認識が薄く、医療機関で受診するケースが少ないといわれる。今後は潜在患者の中から要治療患者を医療機関に受診させる機会を増やす取り組みが求められる。10年2月には内閣府から「いのちを守る自殺対策緊急プラン」が発表されている。こうした対策により潜在する要治療患者が表面化すると期待される。
注目治療剤市場
■統合失調症治療剤
2009年 2010年見込 2018年予測 2009年比
統合失調症治療剤 1,280億円 1,401億円 1,870億円 146.1%
統合失調症は思考・行動・感情をひとつにまとめる能力が長期間に亘り低下してまとまりの無い行動などが見られる病態で、自立支援医療費を受けることが出来る。統合失調症の薬物治療は多剤併用療法から単剤療法に移って来ており、単剤での効果と副作用の少なさから第二世代抗精神病剤が薬物療法の中心となっている。09年には第二世代抗精神病剤で「クロザリル」(ノバルティスファーマ)が発売され、従来の第二世代抗精神病剤では治療効果がなかった患者にも有効性が認められることとなった。長期治療による患者の経済的負担を考慮して第一世代と第二世代薬の使い分けがなされていくが、金額ベースでは今後も第二世代薬の市場が90%を占めると考えられる。
(2)多発性硬化症治療剤
2009年 2010年見込 2018年予測 2009年比
多発性硬化症治療剤 78億円 86億円 245億円 314.1%
この疾患は中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患で、視力障害、四肢の麻痺、感覚障害などの症状が起こる。現状では、完治させる治療薬、治療方法はない。現状はインターフェロンβ(注射剤)が治療薬の中心で、しばらくは第一選択薬剤である。今後最も注目される治療薬は、田辺三菱製薬とノバルティスファーマが共同開発している経口治療薬である。患者の身体的負担が少なくて済む経口剤がこの市場の中心になると予測される。
(3)脳疾患治療剤
2009年 2010年見込 2018年予測 2009年比
脳疾患治療剤 1,525億円 1,563億円 3,040億円 199.3%
抗認知症剤と抗脳卒中急性期治療剤を対象とする。団塊世代の高齢化が進む今後25年間は患者数の大幅な拡大に繋がる。高齢化が進むと共にアルツハイマー型認知症患者が増加して市場は拡大している。抗認知症剤、特に抗アルツハイマー型認知症剤「アリセプト」(エーザイ)が市場の約60%と圧倒的シェアで市場を牽引している。ただ患者数の拡大する領域であることから、数年以内にジェネリック医薬品の発売が見込まれ更にその後、競合新薬の発売も予測されるなど多くの企業の参入と激しい販促活動が予測される。
■抗不安薬・睡眠導入剤
2009年 2010年見込 2018年予測 2009年比
抗不安薬・睡眠導入剤 1,051億円 1,074億円 1,305億円 124.1%
睡眠障害、不安障害、脚の内部に不快な異常感覚が生じるむずむず脚症候群の動向とその治療薬の市場動向をまとめる。いずれも潜在患者の多い疾患で患者は微増すると予測される。今後はその掘り起しが必要であると考えられる。睡眠導入剤は、アステラス製薬が販売する「マイスリー」が高いシェアを占める。10年に発売予定の入眠困難改善薬「ロゼレム」(武田薬品工業)が副作用も少ないという特長を持ち、第一選択薬になる可能性もある。抗不安剤では、「デパス」(田辺三菱製薬)がシェアトップである。
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「クロザリル」「マイスリー」「デパス」は処方され続けるのだろう・・・
これらの市場予測の意味することは、
一度服用した者は継続して飲み続け、新たな服用者が2割から4割増えると製薬会社が認めているということだ・・・
それって、クスリを飲んでも治らないという事ではないんだろうか・・・???
そして、まるで「伝染病」のように「心の病」が増え続けるということなのか・・・
Nico