アメリカの精神科医エリザベス・キューブラー・ロス氏が提唱した、「臨死患者が死を受容するまで」に、どのような「心理的段階」を経るかに関するモデルがある。
否認と隔離 → 怒 り → 取 引 → 抑うつ → 受 容
ここ数年のわたしの心境の変化を思い返してみたが、なるほどと思う部分があった。
ただ、ロス氏の「心理的段階」の3番目 「取引」というのは、「臨死患者」はこの段階で自分の信じる「神」との何らかの「取引」をするというものであった。
わたしの場合、この時点では特に信じる「神」も居なかったので、「思考」の時期だったと思う。
精神科治療薬の副作用で、脳機能が著しく低下していた期間は何かを深く考えるという行為はできなかった。
減薬・断薬治療の折り返し点を過ぎた頃から、脳機能は少しずつだが回復してきた。
自分に起こった出来事に対し、少し冷静に「思考」することが出来た。
わたしの心理的変化をロス氏の「心理的段階論」を参考にさせていただき綴ってみよう。
第一段階【否認と隔離】
精神科への通院を始め、行く度にクスリが増え、動けなくなって寝たきりになった頃である。
その時期は全てに対し「否認」をしていた。
付けられた病名に対する「否認」
陥った環境に対する「否認」
知人、家族に対する「否認」
姉や知人によると、精神科治療薬の危険を諫言してくれたそうだが、
わたしは「逆切れ」したらしい・・・
そして
その否認思考は「隔離」へと繋がった・・・
第二段階【怒り】
自らを「隔離」した状態に追い込むと否認した対象への「怒り」が沸々と湧いてきた。
「なぜうつ病になったんだ・・・」
「なぜ俺は動く気力もなく寝たきりなんだ・・・」
「なぜ友人、家族は俺を無視するんだ・・・」
屈折した感情であった。
しかし、今思うと「怒りの感情」を吐き出せたことで「折り返し点」に近づいたと感じている。
第三段階【思考】
とにかく布団の中で「ガクブル」しながら様々なことを考えた
「俺の人生は終わったのか・・・」
「なぜ動く気力もないんだ、寝たきりで腰が痛い・・・」
「なぜ皆 俺の事を避けるんだ・・・」
とにかく脳機能が少し戻ってきた時期なのであれこれと「思考」した・・・
そしてその「思考」は わたしを再度「抑うつ」な状態に招き入れた。
第四段階【抑うつ】
「自死未遂」をした時期である。
また、この時期にリオを迎えた・・・ そして毎日散歩を始めた。
「怒りの時期」や「思考の時期」も希死念慮はあるのだが、自死を実行に移す「気力」も「体力」もなかった・・・
主治医もこの頃、わたしに「自死行為」に関する注意を促した。
しかし実際この「抑うつ段階」で自死未遂を起こしてしまった・・・
これに関しては近々に再度書いてみたい。
健常者は精神科治療薬を服用した者の「自死行為」に対して間違った思い込みをしていると強く感じている。
再び「抑うつ状態」になってしってはいたが、この時期にわたしは「折り返し点」を迎えたのだった。
そして徐々に、起こった事全てを受け入れる「受容の段階」に入っていった。
第五段階【受容】
受容の時期、とても「寛容」になっている自分に気付いた。
ある意味、発病以前にはなかった感情かもしれない。
「寛容とは,広義には,自己の信条とは異なる他人の思想・信条や行動を許容し,また自己の思想や信条を外的な力を用いて強制しないことを意味する。」世界大百科事典 第2版
全てを許容することが出来そうな気持が湧いてきた・・・
「ICもなく精神科治療薬を処方し続けた精神科医」
「わたしの存在を消したかのような態度の知人」
「様変わりした環境・・・」全てに対して許せるような感情の変化が起こってきた。
そしてブログを書いたり、「反精神医療活動」を始めだした・・・
それは一種のPEER-SUPPORT(1)活動であった。
また苦しんでいるのは私「一人ではない」ことを知った・・・
減薬・断薬治療中の「あなた」
あなたも きっと今どこかの段階にいます。
気が付けば、次の段階に進むだけです。
焦らずに進んでください・・・
Nico
(1) PEER SUPPORT
同輩や仲間による援助。同じ障害者が、他の当事者を援助する活動。
同病相哀れむそのことによって、援助するものも利益を得る可能性がある。
追伸
リオの動画をYoutube にアップしました!!
我が家の次男坊は「マルプー」のリオといいます。
https://www.youtube.com/watch?v=KIZeawzVtuk&edit=vd