特に好きな演し物じゃないんですが、声楽家が株式会社を設立して主催しているというので大変興味を惹かれたので行ってみました。こんにち、芸術家が自ら企画して実施までやる、という意気には感心せざるを得ません。若い人には新しい道を開拓していってほしいものです。
観たのは7/3 金曜日 19:00からの夢組です。
夢組のリーザ役の佐藤智恵さん(ソプラノ)がこの会社の代表取締役。
この演目は前回観たときに宿題を書いておきました。
それをちゃんとやってるかな、というのが大きな興味でしたが、
リーザとジュパン、ちゃんとやってました。劇中でもっともよかったのはこの二人の幸せいっぱいのダンスシーンでした。よく練習して来たのが分かります。振り付けも音楽にぴったり、歌もしっかり出来ていた。演出家も満足でしょう。
私的には、それを観ただけでもう合格です。よくやった。声楽家なのに脚もよく上がって(佐藤智恵さん)、努力の成果を見せました。
あと、本物のダンサーを四人も呼んだのも演出上の効果を上げていましたね。演出面については前回の東京オペレッタ劇場のものより遥かに良かったです。一部、演出面でも不満がありましたが、それは出演者の技量によるものです。簡単に書いておきます。
・まず冒頭のジプシーバイオリンのシーンで、バイオリニスト以外のジプシー女がただ座っているだけ、というのは猿山のサル状態でまったく意味が分からない、かつもったいない。
・タシロは音楽とテンポが合わないシーンが多かった。指揮者を見てないのかしらと
発言・歌手に華がない人が多い(リーザとジュパンは良かった)
・クッデンシュタイン公爵夫人の出番はいらない(歌も演技もヘタです)
あと、これは台本作家の所為ですが、一番大きな笑いが起こったのは前回同様「太田胃散のギャグ」というのは情けない限りです。ラブコメと謳ってるのになんなんだと思います。
総じて、演し物としてはリーザとジュパンがムードをひっぱったお陰でちゃんと成立していました。しかし経営者の視点から見ると、この公演は企画を含めて反省点が多々あるでしょう。
まず、チケットが高すぎます。
SS席が15,000円、私たちの席は最前列S席でしたが9,000円です。
これは、ひとえに渋谷区の「さくらホール」という729席もある大きなホールを借りたことが原因ですね。このスペースで上演するには演出の規模も大きくせざるを得ません。また、その価格設定にしないと利用料が払えない。(4時間で104,500円~139,000円)
その、運営コストを上げている理由が舞台上にも舞台以外にも溢れかえっています。
舞台にはシャンデリアがみっつも下がっていて豪華。プロのダンサーを四人も雇った。
その他にパーティー会場要員の男女が数組。(東京オペレッタ劇場ではひとりも登場しない)
チケット代の所為と思いますが、客は6割弱の入りでした。(二階席は見えないので不確かですが)
有名な俳優・実力歌手を揃えた東京オペレッタ劇場でさえ183席の小屋でやっているのに無謀です。
チケットのつくりも手が込んでいてしかもフルカラー印刷です。
コストカッターが社内にいたら、あっちもこっちももっと節約させたでしょう。
経営的にはまったくシロウトの仕業です。良いものを求める気持ちは分かりますが、これで「黒字」だったのなら私は何も申しません。この公演は明らかに赤字でしょう。企業というのは「継続する責任」というものがあるのです。「いいな」と思ってくれた人たちが、それを利用できる状態を持続させる、というのが企業の責任です。ある日突然使えなくなったら、困る人がいる、それが企業が存続を求められる理由でしょう。なくなっても誰も困らないのなら、最初から無いほうがマシなのです。(最初から無ければみんなの損失を防げるからです)
■ 「利益を出すこと」「儲けること」は企業の義務です。(義務=立場上、身分上当然しなければならないこと)
あと、年間サポート会員というのも募集していましたが、会費は10,000円でした。
年間チケットを10,000円以上値引きで買える、と謳っていますが、それはよっぽどこの会社のファンでなければ、あるいはよっぽど気に入った歌手が所属しているのでなければ、払える金額ではありません。金銭感覚が疑われます。
最初に書いたように、一番関心があったのが「芸術家が自ら企画して実施までやる」というところだったので、「ペイする公演かどうか」をハラハラしながら鑑賞しました。コスト面を大幅に改善しないと大変なことになる、というのが一番の感想です。
参考になれば幸甚です。
あと、リーザのドレスは、デブに見えた東京オペレッタ劇場の青いドレスより遥かに良かったと
が言ってました。同感です。脚がよく上がったのも良かった。リーザの帽子は
発言)帰りにロビーで澤村翔子を見かけました。会釈して帰りました。


