求人票と条件を変えるのはあり? | 社会保険労務士法人Nice-One 所長のブログ

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今回は、人手不足でなかなか応募がこない中、求人情報通りでは採用したいとは思えないが、少し低い条件で採用をしたいと思った場合の話です。

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     求人広告は労働契約の内容となるのか?

     

結論としては、

求人票と違う労働条件で採用を行うことは構わない。

となります。

これが許されるかの争点は、「求人広告などの求人情報の内容が労働契約の内容となるか?」となります。

求人広告に関する争いで、
「安部一級土木施工監理事務所事件(東京地裁 昭和62年3月27日判決)
という代表的なものがあります。
この裁判例では、求人情報において「年間賞与は基本給の4か月分」「昇給は年6%」と記載していたものの、労働契約締結に際して、求人情報の内容と異なる条件を明示したことに対して起きた裁判の判決例です。判決では、「求人情報に記載された条件を労働契約の内容とすることが直ちに契約当事者の意思に合致するものとも言えず、労働契約締結前後の事情をも考慮してこれを決するのが相当である」としました。
簡単に言えば、「双方が合意した内容が労働契約になる」ということです。
一方で、法律的な判断では前述の通りだとしても、あくまでも特別な事情がある場合のみのケースとするべきであって、安易に行うのは決して望ましいことではありません。
実際、「求人情報と違う労働条件を提示された」というトラブルは非常に多く、ハローワーク求人の場合は、「ハローワーク求人ホットライン」という公的な相談窓口も設けられています。

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    実務上の対応ポイント

     

求人情報と違う内容でのオファーを出す場合は、求職者との間で認識の相違が生じることを防止するために、労働契約締結をする前の段階、つまり事業者側が採用オファーの意思表示をするタイミングで、「採用された場合に適用される労働条件」の内容を説明することが大切です。
トラブルの多くは、「タイミングの悪さ」から生じることが多いため、適切なタイミングで、書面で明示することが大切です。
具体的な書面の例として、以下の「労働条件変更説明書兼承諾書」を参考に、説明を行い、説明を聞いて承諾した、という意思表示を記録しておいたほうがいいでしょう。