2023年8月2日水曜日
浅草公会堂
尾上右近自主公演

「夏祭浪花鑑」(なつまつり なにわかがみ)
右近の団七(だんしち)、坂東巳之助(ばんどう・みのすけ)の徳兵衛(とくべえ)でみると、まだ恰幅がない年齢だけに大坂のチンピラ感満載。せりふの勢いもいいし爽快な舞台。

なんといっても義平次(ぎへいじ/団七の舅)を追って花道を駆け出て来るスピードは今まで見た事のない速さ!こういうことろに力を入れる若さ、まぶしいっ!

右近のもう一役、徳兵衛女房お辰(おたつ)も最初の出こそ、少しからだが大きいかなと思わせたが団七同様、チンピラの女房にふさわしい鉄火肌の女になっている。火箸を顔に当てる直前の目の鋭さが印象的。

花道七三で胸をポンと叩き白粉がパフンと舞うと、みているこちらをわけもなくニヤリとさせる風情があってよかった。

中村種之助(なかむら・たねのすけ)、中村莟玉(なかむら・かんぎょく)、中村米吉(なかむら・よねきち)との若手チームワークの良さも見られて、これからこの顔合わせでやる舞台にも期待が持てる。


「京鹿子娘道成寺」(きょうがのこ むすめどうじょうじ)
二役勤めた後の白拍子花子(しらびょうし・はなこ)。
どれだけ体力があるのだか。

花道で懐紙を落としたら拾える席にいたので、
これはチャンスと取る気マンマンで構えていた。
右近と目が合ったような気もしたが、さもしい根性を見透かされたかして、花外に投げられてしまった。ザンネン!

本舞台に入って「暮れそめて鐘や響くらん」からのウキウキとした少女の弾むような踊り、「ただ頼め」からの手踊りの手の柔らかい事、鈴太鼓は少々音が大きすぎではと思うものの、全編、娘が満開の桜の木の下で踊っているたまらない華やかさだった。

最後に閉めた幕の外に出て来ての挨拶とフォトタイム。
夏祭から道成寺まで35分で大道具を替えてくれと無理なお願いをしたら大道具さんに火が付いたらしく完璧にこなしてくれたとスタッフへの感謝もさりげなく入れる。
しっかり4時間の自主公演だったが、とにかく気持ちよかった。