2023年5月22日月曜日 11時

平常心で見れるわけがない。

20日から市川團子(いちかわ・だんこ)19歳が猿之助の代役を務めることになって上演再開。

とにかく出来たのだということだけで十分すぎる成果。

幕が閉まる時にはやはり涙が。

 

 

こんなことになる前に、このチラシを見た時には「なんだ、この恰好は?」であり、

それが平知盛(たいらの・とももり)だと知った時にはちょっと笑ってしまった。

どんな芝居なのか怖いもの見たさの気持ちの方が勝っていた。

大仰な音楽、効果音が古臭いとはいえ、なんだか懐かしい音造り。

團子の知盛が戦で死んだかと思ったけれど宗(そう)の国の武将(隼人)に助けられて異国に渡りという、義経ジンギスカン伝説を知盛に当てたようなストーリー。

恩人の宗の国の武将を助けるために知盛は死を選ぶという結末は納得しがたいけれど、宙乗りしなくてはいけないものね。

團子が顔を隠してすっぽんから宙へと上がって来て、サッと袖を開く気合のいいこと。この快感がスーパー歌舞伎へと続くわけだ。

悪役、宰相武完の下村青以外の歌は短く処理して、それぞれの役者のぼろが出ないようにしていた。下村青の歌をもっと聞きたかった。

追い詰められ小舟に飛び乗った知盛が、気絶した態であおむけに寝ている顔が猿之助にそっくり。

しかし、あんな小舟(渡し舟レベルのサイズ)の碇を舟中必死で持ち上げるところはちょっと笑ってしまった。そんなに重ければ沈むよね舟が。

大元の浄瑠璃にあるように、小舟に乗って出てきて岩に登り、碇を手繰り寄せ、頭上に掲げ入水というのを再現してくれればいいのに。

閉幕後の拍手は盛大なものだったが、カーテンコールはないという情報がすでに出回っていたのでサクッとひいた。

 

 

猿之助の幟が次に出るのはいったいいつのことになるのか。