5月8日月曜日 16時開演
明治座
GW明けでもあり先月夜の部の入りの悪さもあり、どうなっていることかと思っていたら、ほぼ満席でなにより。
「御贔屓繫馬」は場面ごとにお楽しみ満載。
先ずは、焼かれ始めた棺桶の中から蘇った猿之助の良門(よしかど/平将門の息子)にびっくり。着物が焼けてぶすぶすを煙を出しながら燃えている衣装の迫力(ポスターがそれ)。赤く光る髑髏を手にした姿は圧巻。そのまま飛行の術を使って宙乗り。いつもはそれが最後の手段なのに、もう使っちゃうのか!
この場面に*下村青(しもむら・あお)が「熊手のお爪」の役で出ていた。せりふ回しは今一つだが、雰囲気は実にいい。まともなヒトじゃない感がある。
二幕目(ふたまくめ)・丹波大江山切見世(きりみせ/女郎屋)の場は、筋書きを読むと酒呑童子が住んでいた岩屋を女郎屋にしているとわかるのだが、見ていただけではわからないので岩だらけの大道具に違和感。しかし幕が開くとすぐにしゃべりだす「若い者 猪の熊」役の役者のせりふ滑稽なしぐさがうまくて目を見張るが誰だかわからない。あとで*嘉島典俊(かしま・のりとし)だと判明。
百足のお百(むかでのおひゃく)の市川團子(いちかわ・だんこ/香川照之の長男)はかわいいが、ただかわいらしいだけで役名のイメージはまるでなし。それでも見ているだけで嬉しくなるからいいね。
93歳になった市川寿猿(いちかわ・じゅえん)は、彼が出なくちゃ澤瀉屋(おもだかや/猿之助一門の屋号)の芝居じゃないねというところまでいっていて、これまたいい。
中村福之助(なかむら・ふくのすけ/芝翫の次男)の御厨正頼(みくりや・せいらい)が登場して、かっこよくなんだかんだと言っている内に立廻りが始まると、全員のすばらしいスピードと切れのよさで筋など吹っ飛んでしまう。その大勢の中でも目に留まるきれいな動きの役者が一人、橋光(なかむら・はしみつ/芝翫の弟子。30歳)だった。梯子を様々に使って見せた、その立師は市川猿四郎(いちかわ・えんしろう)。
幕切(まくぎれ)に居並んで「後は所作事(舞踊)でお楽しみください」と挨拶があって休憩に入る。
先ほど言われた通り、猿之助五役早変わりの踊りを堪能して幕。見た見たという満足感でいっぱい。
この日は雨上がりだったにもかかわらず、天気に合わせ画像が変わると言うCGの緞帳は雨模様バージョン。
傘をさした人たちが行きかっている。川べりの花も菖蒲の様に見えるが、もしかして花も変えているのか?
とにかく目を楽しませてくれる楽しい緞帳だ。
*下村青 嘉島典俊
歌舞伎役者ではないが猿之助のスーパー歌舞伎の常連となっているので、ファンにとってはおなじみの人。