1月3日火曜日初日

12時から16時10分

国立大劇場

 

4時間に渡る上演、久しぶりに長かったけれど楽しめた。

 

菊五郎は81歳。少し前から足を引くようになったものの、口跡は明確。

序幕・河原崎座楽屋の場での「ブラボー」の一声も満場の笑いを誘ってめでたい。

 

尾花屋丁稚辰吉の丑之助(菊之助長男 10歳か)、主人思いの丁稚を健気に演じて大したもの。花道七三で、懐から手ぬぐいを出して涙をぬぐう所では客席からため息のような反応が。吉右衛門に見てもらえたらと思ってしまう。役名の辰吉の「辰」って、もしかしたら*吉右衛門の本名辰次郎と掛けてるのかな?

 

佐渡金山の御用金を狙った三人の泥棒、松緑(しょうろく)、菊之助、彦三郎の活躍が主軸で、最後に彼らを菊五郎の金さんこと遠山金四郎が裁いて一件落着という、単純な筋だけれど、まあまあツッコミどころがある。

 

短筒(鉄砲)強盗の生田角太夫(いくた かくたゆう/松緑)は、吉原へ遊びに行く途中の佐島天学(さじま てんがく/彦三郎)を脅して金を盗み取ろうとするのだが、短筒で撃ったのは空中で、天学に当て身をくらわして倒す。なんで撃たないんだよお~。

確かにここで撃ち殺したら、後で三人組の強盗になれないからなんだけど不自然。

 

しかも濡衣を着せるため気絶した天学の手に短筒を持たせて立ち去る。わずかな金を奪っただけで貴重な短筒を置いていっていいのか。

 

この泥棒三人組、佐渡金山の御用金を狙っているとは言うものの、盗む場面はまったくない。だから四幕目「新潟行形亭(いきなりや)座敷の場」の幕が開いても、筋書きを読んでいなければ、ここがどこだかわからない。盗みをしたのかどうかもわからない。

卯年にあてたウサギダンスが楽しいけれどね。

 

菊五郎劇団呼び物の立廻りは太鼓の入る下座がよかった。初日故、少々テンポが悪い所があったけれど、櫂や漁網を使って見た目に変化があった。

 

大詰に「河原崎座初芝居の場」ということで、総踊り。眞秀(まほろ/寺島しのぶの長男)、丑之助、亀三郎(彦三郎の長男)、大晴(ひろはる/梅枝の長男)とお子様たちが揃い、獅子舞は松緑・左近(さこん)親子の組み合わせ。手ぬぐい投げも復活してにぎにぎしく幕となりました。

 

この公演から国立でも大向こう復活となったけれど、どこから掛けていたのかな?程よくかかって気持ちよかった。

 

*丑之助は吉右衛門の四女と菊之助夫婦の子。