9月22日水曜日13時 千駄ヶ谷国立能楽堂
「萩大名」「鏡男」「腰祈」の三曲。
目的は山本東次郎(やまもと・とうじろう/人間国宝)の萩大名。
まず、登場の姿からして美しい。サーッと滑るように本舞台まできて、クッと一息の間をとって最初のセリフ。ここまでが胸のすく気持ちよさ。
後半、庭を見物しながらトンチンカンな問答を繰り返すところ、何度も見ているのに笑ってしまう。太郎冠者の姿を見失ったときの当惑顔は、なんとも胸が暖かくなる。
善竹大二郎(ぜんちく・だいじろう)の太郎冠者も、主(しゅ)にあきれてはいるものの、見捨てないだろうなという風情。きっと門の外、100mのところで主を待っているはず。
能楽堂の中庭の萩はまだ咲いていなかった。
全席完売満員の客席。休憩時間にロビーでしゃべらないように注意して廻っているが、なごやかな劇場でなにより。
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