1月4日金曜日 11:00

浅草公会堂

 

先ずは浅草寺に参拝。大して混んでもいなくて、すんなりお詣り。

 

お年玉年始ご挨拶は坂東新悟(しんご 28歳 坂東彌十郎の息子)。

終演時間を読み間違えていたので、挨拶の時間が短くなってしまって、芝居のあらすじを紹介できないので、パンフかイヤホンガイドをどうぞとか、携帯の電源云々とひたすら告知に徹して数分で終わり。もうちょっと楽しい話をすればいいのに。

 

「戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)」

駕籠舁きが二人と島原の禿、合計三人の踊り。筋が分からなくても見た目で楽しめる舞踊。

中村歌昇、種之助兄弟(かしょう29歳とたねのすけ25歳、中村又五郎の息子)の踊りがシャープ。見ていて気持ちがいい。

間に挟まっている禿役の中村梅丸(うめまる22歳 中村梅玉ばいぎょくの部屋子/へやご)とのバランスもいい。

若々しく、正月気分に浸れる幕開け。

 

*部屋子 門閥外の見どころのある子どもを「部屋子」として幹部役者が引き取り、全て面倒を見る。梅丸は、歌舞伎が好きで人を介して梅玉に紹介してもらい歌舞伎の世界に入ったらしい。↓数年前のインタビューだが、経緯が詳しく書いてある。

https://www.kabuki-bito.jp/special/terakoya/01/index.html

(尚、このページの最後に並んでいる松本錦成は、その後歌舞伎の道に進むのを辞めているので、そういうこともある。)

 

「義賢最期(よしかたさいご)」

中村鶴松(23歳 18代目勘三郎の部屋子)の葵御前と梅丸の待宵姫が並んでいるところは、二人があまりに若すぎて、桃色と紫、色違いの着物着ているお姫様にしか見えない。

こういう並びも浅草ならでは。

 

片岡愛之助の義賢は片岡仁左衛門の真似に見えるのに、尾上松也(まつや 33歳 故・尾上松助の息子)にそれがない。声が形作るイメージの違いだろうか?

松也は持ち前の良い声が音吐朗々と響く。それが武将の悲劇のBGMのように聞こえる。

最後の仏倒れまでの動きも早く鮮やか。

 

新悟の小万が義賢を心配して右往左往するところなど、心情がからだににじみ出ていてうまかった。

 

戸板倒しで、いつもは戸板の木の面に乗るのに、金地に松の絵を上にして乗っていた。見た目は派手になるが、滑りそうでもある。

 

*仏倒れ 仏像が倒れる様に、体を真っすぐにすたままうつ伏せに倒れる倒れ方。

義賢は幕が引かれる直前、座敷の上から三段程のきざはしにむかって豪快に倒れるので、最大の見せ場となっている。

 

*戸板倒し 戦いの最中に、戸板を〈コの字・左90度回転の形〉に組み立て、義賢がその上に立って乗ったところで、片側に倒して見せる。見せ場の一つ。

 

「芋掘長者」

若手が総出。

腰をフリフリ踊る仕草も、揃って大げさにふっている。

新悟の緑御前が、婿に田舎者の芋掘藤五郎を選ぶと、他の皆が一斉に「エェ~!」と驚く間の良さ、客席大笑い。

 

一人、重しとして中村歌女之丞(かめのじょう ベテランの女形)が松ヶ枝家後室として出てくるが、さすがの立ち居振る舞い。役のらしさに寸分の隙も無し。

 

皆の息があっていてにぎやかで楽しい一幕だった。

 

帰りに浅草藪へ。20分程並んだが鴨南蛮を食べて暖まる。