8月26日日曜日 夜の部

 

漫画が元になってるとは知っていたけれど、何も読まずに劇場へ。

 

抜擢された巳之助と隼人は期待に応えて魅力的。

隼人の風貌は、3Dアニメそのもの。動きも颯爽としているし、ちょっと影もあっていい。

巳之助も、くりくりと動く目が単細胞な男らしくてかわいい。

 

けれども、これは戯曲が悪いのだと思うが設定が古臭いし悪い。

 

まず、梅丸演じる春野サクラ。全身ピンクでかわいい女子を体現しているのは使い古されすぎていて、センスがまるで感じられない。

忍者の学校では一番成績が良かったと言いながら、やってることは銃後の守りで傷ついた男の手当てをする看護師役でしかない。ナルト・サスケが主役とはいえ、こんな役割しか与えられないなんてガッカリ。

 

サスケに告白するせりふも昔どこかで聞いたよなと思わせる陳腐なもので、しかも梅丸のセリフ回しが下手で恋の場面が盛り上がらない。

旅立つサスケに追いすがるところは股旅物で、コリャ温泉場で昭和に見た芝居だよ。

 

ナルトが笑也の綱手をババア呼ばわりしているのもずれている。

 

綱手が出て来るので当然、自来也と大蛇丸も出て来るが、この三人が揃う古典的設定は全く使われなくて、ただ出るだけ。

笑三郎の大蛇丸が女性的なせりふが怪しくてよかったけれど、これなら役名はなんでもよかっただろう。

 

巳之助のナルトも、バカな少年だというのはいいけれど、これだけは出来るというのが見えにくい。というのも忍者の修行をして技を身に付けて行くのに、最後に最大の敵マダラを倒す時には、それまでの技は出てこなくて刀を振り回している。

修行をして身に付けた技で倒してこそ、バカでもヤッター!なんじゃないのか?

 

ナルトとサスケが対立して、さあいざ決闘となるところでサスケが「場所を変えよう!」と叫んで花道を引っ込む。え!?なんで?と思ったら、滝の大水の大道具設定のためだった。

滝を出したい気持ちはわからないでもないが、そんな無理してまで…。ワンピースの二番煎じ感満載。

 

猿之助のマダラは思ったほどラスボスでもなく、悪者の一人といった感じ。物語に食い込んで、随所で主役二人を阻むわけではないという設定が貧弱に見せるのかな。

 

ワンピースは再演を重ねて脚本も洗練されていったから、この舞台も南座で再演が決まっている事だし、脚本見直されるといいな。