1月16日火曜日 19:00

新国立小劇場

載せた図にある通り、かなり変わった十字の舞台。舞台と1列目の客席はかなり近いので、蒼井優が目の前だった。

どんな格好をしていてもからだのラインがきれいだ。

 

1944年に戯曲が出版された時代背景、ドイツ軍によるフランス占領期を思わせる演出。ナチスの警官のような制服を着た者やシャンソンのBGMなど。

ただ、それが効果的だったという印象はそんなに残らなかった。

 

蒼井優のアンチゴーヌが兄ポリニスの弔いをやめないと強硬に主張すると、生瀬勝久のテーバイの王クレオンは当惑顔だ。

クレオンが国家の安寧のためにポリニスの弔いを禁じる非情を押し通す強さが感じられないので、アンチゴーヌの頑なな心情がわがままにみえてくる。

 

絞首刑に処せられる直前のアンチゴーヌと衛兵とのやりとりでは、アンチゴーヌが疲れ切ってしまって絞首刑に抗うのをあきらめたかのようだった。

 

ただ、蒼井優は聖女というピュアな雰囲気と芯の強さがが常に感じられて役柄にぴったりだった。

 

クレオンとアンチゴーヌのどちらが正しい訳ではない息詰まる選択というものが感じられるとよかったのだけど、少々消化不良。