国立能楽堂
「鮎」
池澤夏樹作、萬斎演出・シテ小吉。
小吉が田舎暮しを嫌い都会の金沢に出て、宿屋の下足番から入婿へと出世していく様を大鮎が語るのに合わせて、装束を重ねて変えていくところの、忙しいテンポが面白かった。
セリフの無い小鮎たちが効果的。
小吉が夢から覚めても、まだ出世欲を捨てない決意をのべた瞬間、一斉に鋭い視線を浴びせる姿は強烈だった。
最後に小吉が欲望を貫くべく雄叫びをあげる迫力は萬斎の演技力ならでは。
藤田六郎兵衛と大倉源次郎の一調一管は、源次郎の鼓の間の早いところが気持ちよかった。