2月28日火曜日

東京芸術劇場 プレイハウス

19:00

 

十八代目勘三郎へのオマージュと銘打たれていることもあり、何をみても勘三郎に結びつけて見てしまった。

 

まず劇場に入って大道具を見た途端思い出したのが、勘九郎最後の舞台「苦労納御礼 今昔桃太郎」。

そこで使われていた立木のようだし、花びらが足袋の足跡にも見える。

 

この後も「野田版研辰の討たれ」の大道具が配されていたり、勘三郎の「高杯」の下駄の音だけが使われていたりと、いやがうえにも勘三郎を思わずにはいられないものが散りばめられていた。

 

でも舞台は感傷的なものではなく、野田の言葉遊びで笑えるところがたくさんある。楽しく、ちょっと切ない、良い舞台だった。

 

抜群のネーミング・万歳三唱太夫の池谷のぶえ、死体/売れない幽霊小説家の古田新太など、出て来ただけで笑えてしまう役者も存分に活躍。

 

三、四代目出雲阿国役の宮沢りえが、足裏を濡らし、消えてゆく足跡をつけながら踊る姿が、たくましい。背中で見せる片から腕のラインがきれいだった。

消えてなくなる?それがなんだよと強烈な存在を主張して目に残る。

 

もうひとつ、寂しがり屋サルワカ役の妻夫木聡が数字に絡むはなしをする。その筋の最後に一代目から数え始めて十八までカウントする。数が増えていく順に泣けたなあ。

 

パンフには題名にちなんで各役者の足の写真。

足は、美女のものはともかくとして、なかなかきれいには見えないけれど誰の足も魅力的に撮られている。