12月26日土曜日
「本朝廿四孝 ほんちょうにじゅうしこう」
七之助の八重垣姫(やえがきひめ)、中村児太郎(なかむら・こたろう)の濡衣(ぬれぎぬ)。
二人共にとても丁寧な演技。とにかく規格正しくやってみましたという舞台。
なので好感は持てるのだが、見ているうちに*赤と黒の色違いの着物を着た同じ人に見えてくる。
尾上松也(おのえまつや)の勝頼。出のせりふ『我民間に育ち、人に面(おもて)を見知れぬを』というせりふも、きちんとした抑揚。もちろん、とても酔わせるようなセリフ回しには程遠いけれど、これなら行く行く楽しみな、と思わせるだけのものはあってよかった。
赤の着物に紫の裃というきまりの衣装が、よく映えていた。
場を圧するには、ちょっと*貫目不足な市川右近の長尾謙信。
いつもとかわらない衣装だと思うが、茶金の色合いがきれいで目を引いた。
*赤と黒の色違いの着物 八重垣姫は赤い地の着物、濡衣は黒い地の着物を着るのが決まりの衣装。
*貫目不足 舞台を圧する存在感がないことを表現することば。
「赤い陣羽織」
着々と歌舞伎の実績を積む*市川中車(いちかわ・ちゅうしゃ)がお代官。
お代官が村の美人妻に横恋慕してなんとか手に入れようとするが、もちろん失敗してなごやかに終わる、ほんわかした話。
音楽、大道具共にアニメ〈日本昔ばなし〉調。そのゆるさもたのしみつつのんびり観劇。
ただ、農家の居間がを大き過ぎて余白が多すぎ。舞台そのものが広いから致し方ないとはいえ、この芝居は小さな舞台でみるものだ。
途中、中車、児太郎たちが人を追いかける道中だという見立てで、2階、3階の客席に現れ*手ぬぐいを撒くというサービスもあり。
*市川中車(いちかわ・ちゅうしゃ) 俳優香川照之が歌舞伎の舞台に立つときの役者名。
「重戀雪関扉 つもるこいゆきのせきのと」
いつもは常磐津だけのところを竹本も入れて上演。
竹本の愛太夫の語りが重いと感じる程、曲調が変わって聞こえるところがあった。
前半は七之助、松緑、松也。三人で踊るところがまるでおもしろくない。三人の手先がちょっと揃うだけでワクワクするような面白さを感じさせるのは大変な技量だったのだなあと、今更ながら…。
後半、桜の木の中に現れ出た玉三郎が実に美しい。ライトの当て方に工夫があるみたいだ。
ただ、最後まで感じるところなく終わって少々残念。
帰りにうなぎをたべて、これにて2015年の観劇は無事終了。
十二月の役者は皆、父親の後ろ盾を失っているか、それがない。
中村七之助の父は、2012年に亡くなった勘三郎の次男。
中村児太郎の父は、50歳代で病を得て休業中。復帰の見込みはたっていない。
尾上松也の父は、尾上松助。松也が20歳になるやならずやの2005年に病気で他界。
玉三郎、市川右近は歌舞伎役者の子ではないところから来ているし、中車は両親の離婚によって40歳になってからの歌舞伎役者参加。
「本朝廿四孝 ほんちょうにじゅうしこう」
七之助の八重垣姫(やえがきひめ)、中村児太郎(なかむら・こたろう)の濡衣(ぬれぎぬ)。
二人共にとても丁寧な演技。とにかく規格正しくやってみましたという舞台。
なので好感は持てるのだが、見ているうちに*赤と黒の色違いの着物を着た同じ人に見えてくる。
尾上松也(おのえまつや)の勝頼。出のせりふ『我民間に育ち、人に面(おもて)を見知れぬを』というせりふも、きちんとした抑揚。もちろん、とても酔わせるようなセリフ回しには程遠いけれど、これなら行く行く楽しみな、と思わせるだけのものはあってよかった。
赤の着物に紫の裃というきまりの衣装が、よく映えていた。
場を圧するには、ちょっと*貫目不足な市川右近の長尾謙信。
いつもとかわらない衣装だと思うが、茶金の色合いがきれいで目を引いた。
*赤と黒の色違いの着物 八重垣姫は赤い地の着物、濡衣は黒い地の着物を着るのが決まりの衣装。
*貫目不足 舞台を圧する存在感がないことを表現することば。
「赤い陣羽織」
着々と歌舞伎の実績を積む*市川中車(いちかわ・ちゅうしゃ)がお代官。
お代官が村の美人妻に横恋慕してなんとか手に入れようとするが、もちろん失敗してなごやかに終わる、ほんわかした話。
音楽、大道具共にアニメ〈日本昔ばなし〉調。そのゆるさもたのしみつつのんびり観劇。
ただ、農家の居間がを大き過ぎて余白が多すぎ。舞台そのものが広いから致し方ないとはいえ、この芝居は小さな舞台でみるものだ。
途中、中車、児太郎たちが人を追いかける道中だという見立てで、2階、3階の客席に現れ*手ぬぐいを撒くというサービスもあり。
*市川中車(いちかわ・ちゅうしゃ) 俳優香川照之が歌舞伎の舞台に立つときの役者名。
「重戀雪関扉 つもるこいゆきのせきのと」
いつもは常磐津だけのところを竹本も入れて上演。
竹本の愛太夫の語りが重いと感じる程、曲調が変わって聞こえるところがあった。
前半は七之助、松緑、松也。三人で踊るところがまるでおもしろくない。三人の手先がちょっと揃うだけでワクワクするような面白さを感じさせるのは大変な技量だったのだなあと、今更ながら…。
後半、桜の木の中に現れ出た玉三郎が実に美しい。ライトの当て方に工夫があるみたいだ。
ただ、最後まで感じるところなく終わって少々残念。
帰りにうなぎをたべて、これにて2015年の観劇は無事終了。

中村七之助の父は、2012年に亡くなった勘三郎の次男。
中村児太郎の父は、50歳代で病を得て休業中。復帰の見込みはたっていない。
尾上松也の父は、尾上松助。松也が20歳になるやならずやの2005年に病気で他界。
玉三郎、市川右近は歌舞伎役者の子ではないところから来ているし、中車は両親の離婚によって40歳になってからの歌舞伎役者参加。