8月14日金曜日 国立小劇場 13:00-17:00過ぎ

「本朝廿四孝 ほんちょうにじゅうしこう」
濡衣(ぬれぎぬ)役の中村京珠(なかむらきょうじゅ) 、最初の出の座ってる時の横顔のきれいなこと。目元の寂しさが、八重垣姫(やえがきひめ) より控えめな役柄にあっているようにみえる。
*「我折れ(がおレ) 」のせりふの押し出しが弱かった。ここを張って言うのは結構骨が折れそうだと見ていて思った。

八重垣姫の中村芝のぶ(なかむらしのぶ) 。ひとつひとつの仕草が丁寧で姿が愛らしい。

簑作(みのさく) 実は勝頼・役に大谷桂太郎(おおたにけいたろう) 。彼が悪いわけではなく、この役、ただ座っているだけでそれらしく見せるというのが本当に難しいことなのだなとあらためて確認。技量や修練だけで、どうこうなるものではないという役柄を作り出している芝居なのだな、これは。

原小文治(はらこぶんじ)役の尾上音之助(おのえおとのすけ) 。登場直前の発声が見事。

「素襖落(すおうおとし) 」
太郎冠者の中村又之助(なかむらまたのすけ) 、大奮闘。脇としてはベテランの域の人だから、堅実に役に取り組んでいる様子がよくわかる。

大名某役の坂東彌風(ばんどうやふう) 、*師匠・彌十郎(やじゅうろう)に似て、大様な風格があってよかった。

「伊勢音頭恋寝刃(いせおんど・こいのねたば) 」
料理人喜助(きすけ) 役の坂東八重之(ばんどうやえゆき) がせりふ、姿ともにうまくて印象に残った。
貢(みつぐ)から預かった刀を取り戻しに行くと見せかけて駆け出していくところ、花道でヒョイと表情を変えるところもよかった。

お紺役の尾上みどり、背の高い、いかつい感じの見た目を生かして、底意地の悪い目つきで、押しの強いお紺だった。


全員が力いっぱい演じている芝居を三本。
見ているだけなのにちょっと疲れた。たぶん、息を抜く間がなかったせいだろう。

*稚魚の会 歌舞伎会 合同公演
国立劇場が運営している養成所を卒業して歌舞伎で活躍している役者たちの勉強会。毎年1回、㋇に公演がある。
この公演に参加したい役者はやりたい役に応募して抽選で決めるそうだ。

*「我折れ(がおレ) 」のせりふ
八重垣姫が腰元の濡衣に勝頼との仲立ちを頼む。姫があまりに積極的なので、「我折れ」(あきれた)と言うところのせりふ。このせりふが、まじめな芝居の流れの中でユーモラスな点景になる。

*師匠・彌十郎(やじゅうろう)
養成所を出ると自分で選んだ師匠のもとでプロとしての修業を開始する。<彌>の字が同じように師匠から名前をもらう。