6月9日火曜日 15:00 世田谷パブリックシアター シアタートラム

日本文学シアター vol.2 夏目漱石の<草枕>の舞台化。

vol.1同様、松井るみの美術で、山あいの温泉場を劇画調の絵で作った大道具が鄙びた感じも出ていて良かった。


元の小説・草枕がどのような筋だったか忘れているが、これといってストーリーが無いものだそうな。
舞台も今一つとらえどころがない展開。

浅野和之が五役演じる内、茶屋のお婆さん、旅館の下女で笑わせる。
画工役の段田安則がお婆さんをスケッチし始めると、考える人のポーズをとり、次に落穂ひろいの農婦のポーズをとるところは絶妙な形態模写。

小説のモデル前田卓(まえだつな)と那美二役に小泉今日子。何回も彼女の舞台姿をみていると、どんな役でもたたずまいが良い人なんだなあと思う。見ているだけで気持ちがよくなる珍しい役者さん。
ラスト近く<人の哀れを思いやる顔>というのを見せる瞬間、背を向けていた。いろんな顔が思い浮かび、素敵な瞬間だった。


帰りは、ちょっと散歩。
三軒茶屋のゆうらく通り、三茶3番街など、かつての闇市後を経めぐって帰宅。
偶然入り込んだだけで、事前に知っていたわけではないので、結構驚きながら歩いてきた。