森川有実、有森裕也いずれも仮名16歳。
毎日一緒にいたい。
でも共に実家では融通もきかない。
かといって二人暮しなんて到底できない。
毎日いたい。毎日声聴いて毎日笑って毎日抱き合いたい。
そんな事を通学途中話すのが日課になりつつあった。
「なんで裕くんは16歳なんだろう」
「え?」
「だって18だったら結婚して毎日一緒じゃん!」
少し早く歩いて後ろを向いて笑顔の有実。
「俺が悪いの?ごめんね」
少し怒り気味の裕也に対して有実は
「そうだったら良かったねって事じゃん!裕くんあたしといたくないの?!」
と裕也の制服を摘みながら言うと
「そんなんじゃないけどさ…」
とうつむいた。そして
「結婚なんていいもんじゃない」と付け足した。
有実はわからなかった。
好きな人と毎日過ごせること、ご飯食べてお風呂はいって…。
何が悪いのかわからなかった。
「なんでよ!裕くんといたいもん!裕くんが言うなら何でもできるもん!」
「俺んち、親いねーんだわ」
裕也は施設から養子に貰われた子、他人に育てられ、血も繋がらないのにとても良くしてくれる、でもそれに答えられない自分の情けなさ、そして本当の親に会いたいと思っていることを有実に話した。
「裕くん…」
「哀れんでるか?有実には親がいて俺はいない可愛そうに見えるか?」
強めに言って学校とは反対に歩いた。
「ちょ…裕くん!」
「あたし、裕くん好きだよ。どんな裕くんでも大好きだよだから待って」
裕也は「じゃあ会いに行くのついてくる?」と止まって有実に言った。
有実はもちろんと首を縦にふった。
つづく