退職勧奨、リストラの憂き目に逢ってしまった際の心得を書いてみたい。
1.「退職理由」で争うな。
移籍先が決まっていない状態で退職する際には、会社からは「離職票」という書類が交付されます。
これは市区役所に諸々の届け出をする際に必要となる書類ですが、この書類の「退職理由」について注意すべきことがあります。
退職理由は2つがあります。
・自己都合退職
・会社都合退職
失業保険の給付を受ける際に、より多くの給付額と、より長い給付期間を受けるには、「会社都合退職」です。
失業保険の負担は会社です。
会社としては、会社の負担が軽い「自己都合退職」に持ち込みたい。
会社都合もいいところの「退職勧奨」で退職に追い込んだのに、です。
You Tubeで社会労務士さんの動画では、いかに会社都合退職に持ち込むか、、というのをよく見かけますが、実はこれは本質を外している。
退職理由よりも大事なことは、
履歴書で無職の期間を作ってはいけない
ということです。
再就職先を探す場合、履歴書の「社歴」で無職の期間がある場合、どう釈明しようが、訳アリと断定され、書類審査で弾かれ、面接さえしてくれません。
奇跡的に面接に漕ぎ着けることができたとしても、面接で問い詰められるのは、退職の経緯と無職の期間が生じている理由を徹底的に問い詰められます。
失業保険の給付が開始されている頃は、失職後、無職の状態で数カ月が過ぎている状況です。
なので、在職中に次の職を決めておくのが鉄則。
社労士さんが言っているのは立場上、失職した後の話をしているのであって、次の職を探す際の心得については、社労士には関係ありません。
よって、退職勧奨された場合、離職票の記載事項でモメるよりも重要なのは、
次の職が決まるまで、無給でいいから、少しでも長く在職させてもらう交渉をする
べきです。
それでも会社にとっては、社会保障の負担をせねばならないですから、居座られるだけで金がかかるから、一刻も早く辞めて欲しいところです。
自分から退職届を出さなければ、退職金ナシの解雇、、という最終手段に踏み切られるのが最悪の状況なので、それは避けねばなりません。
でも、1ヶ月2ヶ月でさえ待ってもらえるのなら、その期間に次の職を決めるのは、在職中であれば、失業中よりもマシです。
あくまで、失業中の期間を作らないことが最優先なので、
① 年収や待遇を譲歩して採用に漕ぎ着けて急場をしのぎ、入社してしまい、
② その会社の待遇や環境が不本意であれば、その会社の在職中に次を探せばいい、
というのが最善策。
ということで、失業保険の額や期間を釣り上げるよりも、失業期間を無くすことに全力を上げねばならないということです。
<訳アリと勘ぐられる例1>
新聞を読んでいると、
「○○社では、○月までに○百人の解雇を予定」
みたいな記事が割りと頻繁にあると思います。
自分がその〇〇会社で退職勧奨されて職を探していると、その記事が出た時点で、世間では、訳アリ扱いになりますから、なおさら、無給であろうが、退職日を引き延ばして、無条件で次を探さねばなりません。
<訳アリと勘ぐられる例2>
今まで1社でしか働いたことがない、というケースは、
役立たずのくせに、今まで会社に居座り続けた末、とうとうクビになった他社で使いモノにならないヤツ
などと、言いがかりに近いことを勘ぐられます。
<訳アリと勘ぐられる例3>
・前職で高給取りだった
・前職が外資系だった
・前職がカタカナ職業だった
これらは、
何でウチなんかに応募してきたんだ?
という落ち武者なことになります。
別にリストラじゃあないのに、
生き馬の目を抜くような世界で戦ってきたし、まだ続けられそうなんだけれども、いい加減、もう平和な日々を送りたいだけなんだ、、
と純粋に望んで職探しする場合も、落ち武者のレッテルを貼る世間です。
2.正規雇用にこだわるな。
再就職先が見つからない場合、いろいろ譲歩していかねばなりません。
屈辱的なことではありますが。
雇用条件で「時給制の非正規」と記載されていても、日々8時間の週休2日で事実上、フルタイムになっていて社会保険整備(厚生年金や健保、失業保険)の場合が結構多い。
非正規=解雇されやすい、というわけではないのは、正規で解雇されちゃったあなたには理解できるはず。
なので、求人を検索する際、正規雇用をポチる必要はないわけです。
条件の中身を見てみると、事実上正規と変わらない非正規の求人は多い。
まあ、非正規なので、職場では正規社員にペコペコせなばなりませんが、逆に、何も責任は無い、だから定時でキッチリ退社させてもらいます、、と開き直ることも可能。
クビにならない程度に。
3.職は1つであることにこだわる必要はない。
「週5日、週休2日、正規社員」という求人を探しがちですが、なかなか見つからないという場合は、勤務時間帯や曜日が重ならなければ、2つ以上の仕事を組み合わせることもアリと考えれば、求人探しの選択肢は大きく広がります。
たとえば、午前中だけ、月曜だけ、とか、隔週とか、、、のそれ1本では生計が成り立たないような条件の仕事は、なかなか応募がなくて求人元の会社は困っています。
だから、リストラに遭ったような訳アリでもありがたい、ケースが多く、仮にその求人が月曜だけという条件なら、火曜から金曜の条件の求人案件と組み合わせて働けばいい。
当然、それぞれ1案件で見たら社会保険の条件(月額8万8000円以上の賃金、週20時間以上の勤務、という条件だと会社はその社員に社会保険に加入させてあげねばならない。)が成り立つフルタイム勤務ではないので、社会保険は付きませんが、売り手市場であることには間違いありません。
そんな上手い組み合わせの求人が同時に見つかることもないかも知れませんから、例えば、まず月曜だけという条件の仕事をしながら、他の曜日にて働ける求人を探し、見つかった案件が複数曜日で働かさてくれるけど月曜が重なるな、と思えば月曜だけの仕事は辞めてしまえば良い。
どうせ非正規雇用なわけですから。という考え方ができるわけです。
そうやって掛け持ちで働いておられる人は思ってる以上にたくさんおられます。
近所のスーパーで時給で働いておられる方も、「アルバイト」と称する求人広告で応募して働いておられるんだけれども、勤務条件が社員同様に社会保険加入できる、加入しているというケースは多々あります。
掛け持ちで働く場合、それらの職場が近くて、どちらも同じ内容の仕事だったら理想です。コンビニ店員さんに必要な知識と能力は同じチェーン店なら同じですから、近くのコンビニを掛け持ちできるようにシフトを組んでもらえれば、、、ということになります。
4.少し注意したい求人例。
全部が全部、当てはまるわけではありませんが、求人にも訳アリ求人があるという例です。
①マンション経営
いわゆるサブリース契約。
セン○ュリー21みたいなヤツ。
お持ちの土地や持ち家を担保に銀行ローンを組んで、マンションを建設、そのマンションの1室に住みながら、家賃収入で暮らす大家さんになりませんか?
ローン・建設・賃貸管理の一切を仲介します、
といういわゆるサブリース契約。
全室が常に借り主で埋まっててくれないと困るけど、空室が生じない保証はありません。
全室埋まってる前提で管理手数料を負担せねばならず、ローンも返済せねばならないので、よっぽど勉強しないとマンション経営は手を出すべき代物ではない。
資産があって、まとまった金額の退職金もあるという場合に誘ってきます。
もちろん、うまくいけば、それに越したことはないんですが、相当調べて詳しくならないと危ない。
②営業
あなたの人脈が欲しい目的な求人が少なからず。
法人営業の場合、あなたが担当していた企業、顧客を持って来い、という目的の求人。
でもあなたのお客だった企業は、あなた個人とあなたの会社のセットと取引していたのであって、あなた個人だけと取引するかどうか。
それに、もし、元居た会社のお客を奪うことができたとしても、引き続き担当させてもらえるのかは別問題で、お客さえくれたら、あなたは不要、、というケースも実際ありますし、業界内で、あなたはそういうことをする人、、ということになり、さらに再就職する場合は失われた信用は戻らない、、ということに。
個人営業の場合、自分の人脈、友人、知人、元同僚、親戚、のリストを提出することを求めてきたりしますが、そのリストが欲しいだけで、あなたは不要、、というケースが実際あります。
それに、自分の人脈で商売するのは、貴重な友情を、そういう打算で利用したらどうなるか、、ということに。
培ってきた知識やスキルを活かすことができればそれに越したことはないけれども、培ってきた人的資産で商売するのは、私には気が引けます。
③フランチャイズ経営
フランチャイズ経営者という求人案件があります。
退職金でまとまった金額を手にしているので初期投資ができる人をターゲットにした求人です。
学習塾の経営だったり、コンビニのオーナーだったり、ラーメンチェーンの店長さんだったり、、
経営に必要な知識を学ばせてくれて、ノウハウを提供して開業までサポートしてくれ、それと引き換えに、毎月、親会社に対価を払っていく仕組みです。
うまくいけばいいのですが、従業員を集め教育し、集客し、経営していくのは大変です。
まず、フランチャイズの親会社が、なぜ直営じゃなくてフランチャイズ形式にしているのか、そもそもフランチャイズって何?あたりから理解した上で判断すべきです。
何事もそうですが、うまくいった時のことよりも、失敗した時に打てる手を整えてから手をつけることが、会社に属していた頃以上に求められます。
実際にうまくいってる人もおられますが、そうでない人もおられるのは事実ですけれども、、、
フランチャイズ経営は大変ですが、自分がそこで雇われる側になってみると、上で述べたように、シフト勤務がうまく組み合わさるよう要望を聞いてもらい、複数の職場で働くことが容易になります。
経営する側は辞められちゃあ困るわけで、シフトや時給は、足元見れるというか、多少のワガママを押し付けることができるかも、、です。
失うものは何もない。
5.失業翌年に目が飛び出るほどの出費。
ある程度の高給で失業すると、前年度の年収で計算される国民健康保険料と住民税は、目が飛び出るほどの金額で、医療費や薬代を保険証使わずに100%自己負担した方が安いような金額で請求書が来ます。
なので、退職金を丸ごと投資に回すようなことをせずに、まず2年くらいは、一体、どういう公金負担がやってくるのか、様子を見たほうがいい。
高給だったけど貯金がまったくない、、という人はヤバい。
国民年金も払い続けないと、未納期間が発生すると老後にもらえる年金額に響く。
給料から天引きされていたので意識していたなった社会保障に関する出費が結構あります。
<<総括>>
自分に合った求人というものは、誰もが自分に合った求人と思っているはずの求人なので、そういう求人を探すのも採用を勝ち取るのも大変なわけですが、一方で、なかなか受け入れづらい条件の求人なら「辞められちゃあ困る」という足元を見て、手取り足取り教わりながら仕事に慣れ「辞められちゃあ困る人」になり、少しずつ条件面のワガママを受け入れさせていく、、というしたたかな戦法を取るとか、できるわけです。
番外編.在職中にクレジットカードを作っておくこと。
無職ならもちろんのこと、パートタイマーだと、クレジットカードを申し込んでも断られますので、在職中にクレジットカードを作ってください。
年会費無料のMastercardとVISAカードを1枚ずつ。
まぁJCBもあるに越したことはないんですが、必須ではありません。
賃貸マンションも、間取りをダウンサイジングした方がいい。
在職中に契約しないと、無職だと借りれません。