2輪AT車のパーキングブレーキについて。
このたびADV150に乗り換え、納車から1ヶ月半。1,600kmばかり乗ってみて、我ながらいい買い物をしたものだと大満足ですが、ADV150は、AT車。
「駐車中に1速に入れておくことができない。
パーキングブレーキに相当するタイヤをロックしておける手段がない」
ということに気づきました。
車のAT車に例えれば、
「Pレンジが無くてサイドブレーキも無い」
という信じがたい状態で、極めて心もとない。
しかしながら車とは違い、2輪の場合は、サイドスタンドなり、センタースタンドなりで駐車するので、車のその状態ほどは酷いことにはならない。
一時期、車のAT車で坂道に停車させておいたのが、ニュートラルのまま、サイドブレーキの掛け方が甘く、車が坂道を暴走した、、という事故がありましたが、2輪はその場で倒れちゃうので無人で暴走はありえないのではありますが。
それでも、前下がりの傾斜に駐車せざるを得ない場合、とても不安。
コンビニの駐車場をはじめ、近隣住宅にマフラを向けて停めることのないように、壁に向けて停めるようにという注意看板のある駐車場もあり、その場合に前下がりになっている場合もある。
2輪でMT車であれば、1速に入れたままでエンジンを切って止めれば、ギヤが噛んでいるからタイヤは一切転がることはない。
車のMT車も、AT車のパーキングモードが無いので、サイドブレーキを使うし、さらに1速に入れてエンジン止めておけば、ダブルに対策できると。
なので、2輪AT車であるADV150だと困っちゃうわけなんですが、パーキングブレーキ(サイドブレーキと言ったりもする)があったらいいなぁと思うわけで。
そういうことで、調べると社外品で、いろいろあるんですね。
いずれも、
「ブレーキレバーを握った状態にしておいてくれるロック機能」
というもの。
例1:ハンドルとブレーキレバーに引っ掛ける着脱式のタイプ。
例2:ブレーキレバーをロック状態にしておける部品を取り付けるタイプ。
これは、
「ブレーキレバーを握りっぱなしの状態にしておく」
ことなので、バイクにとってとても悪い。
つまり、今、大半の4輪、2輪が、油圧式ブレーキを採用していて、ブレーキペダルなり、ブレーキレバーからの力をブレーキオイルの油圧によってブレーキホースを伝ってブレーキに加圧しその摩擦で減速する仕組みになっている。
長い下り坂で「エンジンブレーキ使用!」という看板があるけれども、摩擦熱でこのブレーキオイルが沸騰して気泡が生じてしまい、気泡が萎むだけでブレーキに圧力がかからないからブレーキが効かなくなるというベーパーロック現象を招くので、ギヤをシフトダウンしてエンジンの「回りたくない」抵抗を使って減速するエンジンブレーキ使いましょうという意味で。
それくらい、ブレーキオイルとブレーキホースにとって、「圧力」というものは生命線。
ブレーキにとって生命線って、私達、乗る人の生命かかってるわけです。
上記2つのパターンの
「ブレーキレバーを握りっぱなしにしておく状態」
にする考え方は、
「ブレーキホースに内圧をかけたまま何時間も何日も放置する」
ことに他ならず、ゴム製のブレーキホースは、すっかり内側から放射状に外に向けた内圧で膨張させられたまま状態に置かれる。
伸ばしたままにしておいた輪ゴムがすっかり伸びちゃって縮まなくなっちゃった、という経験は誰にでもあるはず。
ブレーキホースもゴム製。
ブレーキレバーを握りっぱなしにしておくという、伸ばしっぱなしにされたそのゴムホースは伸び切ってしまう。
目に見える現象としては、
・ブレーキオイルが減る(ブレーキホースの断面積が大きくなっちゃってるのでブレーキホース全体の容積が大きくなってるのにブレーキオイルは定量なので確認する窓から除くと液面が下がっている)
・ブレーキの効きが甘くなってくる。ブレーキホースのゴムがすっかり伸びやすくなっちゃってるので、ブレーキをかけても、その圧力が伝わらない。
(ブレーキパッドは減ってないのに、なぜかブレーキが効かない。かなり握らないと効かない。ブレーキタッチも何だか柔らかくて頼りない感じ。)
これは、日常生活で血圧を気にしている日々の私と同じ人はわかると思うけれども、
常にブレーキレバーを握りっぱなしにしておく状態というのは、血圧が高いままで血管に内圧がかかったままの結果血管の弾力性が失われてしまっている状態と同じ。
人間の血管の場合は、高血圧になるからには、高脂血症で血管の内壁に脂肪がついて、血管の断面積が狭くなるわ、血管が固くなるわのダブルパンチで、血流が速くなるからますます血圧が上がり、本来の血圧を越えた圧力がかかるから脳の毛細血管が耐えられなくなって脳溢血脳卒中、血液を濾過する腎臓肝臓に過剰な負担がかかり損壊し、老廃物を濾過するために人工透析、、、というような。
それと同じなので、ブレーキホースなり血管なりの弾力性あるパイプに内圧がかかり続けるのは、ロクなことにならないので、上記2パターンやそれに類するブレーキレバーを握りっぱなしにしておく的なパーツの使い方は、あくまで、
前下がりに駐車せざるを得ない数分程度の短時間
にとどめるのが鉄則。
4車には必ずついているパーキングブレーキ。
2輪にはパーキングブレーキが実装されている車種も実はある。
ADV150の兄貴分なX-ADV(750cc)。
取扱説明書の抜粋のこの画像のように、ブレーキレバーとは別にパーキングブレーキレバーがある。
つまり、4輪も2輪も、パーキングブレーキは、通常使用するブレーキの油圧のブレーキホースとは別系統で、ブレーキレバーなりブレーキペダルとブレーキ部分とがワイヤーで直結されている。これは市販車でも、ベンツもフェラーリであっても例外なく同じ。
X-ADVのパーキングブレーキも、通常は油圧で効かせるブレーキを駐車時はワイヤーで効かせる固体的な作動。
これは4輪も同じ。
パーキングブレーキはレバーやペダルとブレーキがワイヤーで繋がっている。
当然、ワイヤーが伸びちゃえば交換。
重要なのは、
・減速や停止用の油圧(液体式)のブレーキホース
・駐車用の(固体式)ワイヤー
このことは4輪、2輪、パーキングブレーキあるものは、軽自動車であれベンツフェラーリであれ、例外ない。
そうです。
だから駐車用に油圧をかけたままにするとブレーキホースがイカれる。
油圧で長時間だとイカれるから、ワイヤーになっている。
ワイヤーだと断続的な加減に到底対応できないから通常ブレーキは油圧になっている。
このように別物なので、何時間も、何日も、
「ブレーキレバーを握りっぱなしにして油圧がかかったままにしておく」
状態にしておくのは非常に悪い。
それでも私は、上記タイプ①を持っていますが、それは万が一、出かけた先で休憩中とかに、前向きに傾斜しているところに停めざるを得ない場合にのみ、トイレに行く時間程度の数分に使う非常手段、としてシート下スペースに常備している。
フルブレーキングを多用したいスポーツ走行の場合、4輪も2輪も、膨張しない金属製のブレーキホースがあり、それは、フルブレーキングの高負荷の時にゴムのように膨張一切ないので相当ガツンと効くようになる。
確かにこういうパーツは売っているけれども、これを日常で使うバイクなり車なりに使うと、いちいちガツンと効くようになり、車重1,500kg以上ある4輪車の場合はまだしも、せいぜい重量級の場合でも車重200kg300kg程度でタイヤは2つで接地面も合計で名刺1枚分の面積でしかないオートバイに使うとなると、タイヤのグリップが追いつかない。
このブレーキホースは、
「フルブレーキングでタイムを削っていきたい」と口にする人向けオンリー。
それはそうと、ADV150の場合、フルロックにハンドル切ってみると90度くらい真横に切れてくれる。ものすごい切れ角。
この切れ角。
バイクを降りて押して見ると、フルロック状態のままだと、全体重をかけて揺らしても前に押そうが手前に引こうがビクともしない。
なので、この切れ角を使って、駐車する時は、傾斜に応じてサイドスタンドかセンタースタンド化を選んだ上で、どんなに数分であっても、必ずハンドルロック。防犯上も好ましいし。
もし傾斜があって、バイクを向けられる方向を選べるのであれば、後ろ下がりの向きにして、センタースタンドかけてハンドルロック。
それが、パーキングブレーキ欲しいけども、最善の駐車方法。
前下がりの場所に駐車せざるを得ない場合のみ、前述の「ブレーキレバーを握りっぱなしにしておく」部品とハンドルロックの併用。でもほんの数分。
ということが、毎朝毎晩、血圧を測っている私の考え。
まぁでもADVのような150ccでも「ビッグスクーター」と表現する人がおられるくらいなので、ビッグスクーターには漏れなく、ワイヤー式のパーキング専用のブレーキを標準装備してくれるっようになるといいですよね。
こういうところをケチらないでほしいんですよね。
最近のバイクは国産メーカーとはいえど、バイクの市場が日本国内よりも東南アジアの方が巨大なので、ADV150は、生産工場だけでなく、そもそもの設計もデザインもタイ。
タイ駐在の日本人エンジニアがチーフとはいえ、開発チームはタイ人が大半。
タイはもちろんインドネシアのバイク事情が最優先で構想設計されている。
でも台風は、日本に来る時、少なくとも上陸している時には温帯低気圧になるくらい勢力が弱まっているのに対して、タイとかインドネシアだと、台風が発生して勢力大きくなってる状態なわけで、台風対策の一環としてパーキングブレーキの必要性はありそうなものを。
そこの実情はわからないけれども、バイクが倒れて傷がついた!と騒ぐ潔癖症な日本人とは違うのかも知れない。
舗装路のほうが少ない国で、車体なんぞ傷がつくのは当たり前なのだろう。きっと。
車両登録の区分で125ccか250ccかという日本人の感覚ではありえない150cc・155cc・160ccという昨今相次ぐヒットを産んでいる排気量の設定は、東南アジア諸国ではど真ん中ストライクの排気量だそうで。
日本のメーカーが国内市場を見据えたコンセプトのバイクでなく、東南アジア市場を見据えてヒットするものを作るようになっている時代と、そういう勢力地図になっているんですね。
You Tubeで、パーツやタイヤとかを見て「日本製じゃない」とコメントしている動画があるけれども、私が住むIT業界では「日本製」なり「日本人エンジニア」が優先されるようなことはなく「日本製や日本人は高いし働かない」のが今の常識。
どんな分野のものであれ、メーカーだったりブランドロゴが日本であるだけで、日本製じゃないものが大半なんじゃないかな。
「タイやインドネシアだからイマイチ」とか平気で口にする人たちは、NHKのロボットコンテストで、秋葉原でパーツを買い揃える日本の大学生・高専生のロボットが、貧民街のスクラップの山から材料を拾い集めて組み上げた東南アジア諸国の学生のロボットに敵わない、というMADE IN JAPANのレベルの現実をどう思っているのだろうか?
私は何かを買った時、MADE IN JAPANの文字を見ると「人件費のバカ高い日本でこの値段。一体、原材料はどんだけ安物使ってこの値段に収めてるんだ?」と疑うくらい。
さすがにMade in Chinaは抵抗あるけど、Chinaの場合は、安さ最優先で品質悪くても割り切るようなものの場合はベストチョイスだと思っている。
リターンライダーとして、久々にバイクの世界を見てみると、
「手取り25万円でも足りないし週休3日制大歓迎」
「監視罰則がなければ何をやろうが自由だ権利だなどという考えで平気でサボるし不勉強でプライドだけは高いし常に不平不満を抱えている」
というような日本人の手によるMADE IN JAPAN信望のままの日本と、日の出の勢いのアジア諸国が対照的なことに思い知らされる。
私には、私のこのADV150が、国産車には見えない。到底国産車とは思えない。
事実、そう思ってない。
ADV150に関しては「輸入車」ですからね。
タイヤもブレーキホースもゴム製です。
「タイヤの溝が無い」「ひび割れ始めてるから次のタイヤは。。」と、タイヤの劣化を気にしていながらも、ゴム製という意味では同じはずのブレーキホースの劣化を気にする人を見かけたことはない。
怖いのは、タイヤはスリップサインとかひび割れといった見た目でわかり、「車検ヤバくね?」という交換が避けて通れないという交換のきっかけがあるけれども、ブレーキホースそろそろ交換、、なことも少しは気にする方がいい。
上手い人ほどブレーキングの話から入る。
そうでない人ほど、パワーの話から入る。