西シャコ時代、ロッペちゃんはヨコスカのシティボーイであった。
家業がガソリンスタンドだったこともあり、学生時代からバイクや車を乗り回していた。
たしか、北海道にもバイクで来たんではなかったか。(不確かな記憶。)
乗っていた車はワーゲンの黄色いビートルで、クーラーは壊れていた。
この車でも西シャコに来たことがあったようだが、その時に事故ってビートルがひっくり返り、カメのようだった、とロッペちゃんが話していたのを聞いたような覚えがある。。。
(こちらもまた、あまりにも昔の話で詳細は確かではない。)
とにかく、車があるといろいろと便利に使われる。
アビちゃんが「女の子紹介して。」というのでタチキさんを呼び出し、ロッペちゃんに車を出させてチャリも含めた5人で鴨川シーワールドなんかも行ったっけ。
そんなとき、ロッペちゃんはあくまで脇役に徹して、嫌な顔一つせず、ビートルを運転してた。
ま、アビちゃんとタチキさんの出会いはその時の一期一会だったにしても、そのドライブは楽しい思い出だ。
狭いビートルの中にぎゅうぎゅうに5人詰め込まれて、しかもクーラーはなし。小さい窓を全開にして汗だくで乗っていたような。。。
若いって、スバラシイ。。。
ヤナセに就職して何年かした後、ロッペちゃんは家業のガソリンスタンドを継いだ。
お父さんを手伝って働いていたが、その後お父さんが亡くなるとほぼ休みなしの生活が始まったと聞く。
本人はその頃を1000日修行と呼んでいるが、まさに1000日に1日程度の休日だったらしい。
何年か前にそのガソリンスタンドを廃業し、今は子供たちにラクビーを教えたり、趣味の域を越えた陶芸に打ち込んでいる。
たまに地元の知り合いなどから車の整備や部品交換などを頼まれたりもしているらしい。
3人の子供もみんな立派に育った。
チャリに続いてロッペちゃんもこの9月で還暦を迎えた。
20代の頃に一緒にワイワイと遊んでいた友達が赤いチャンチャンコの年齢になるとは、本当に信じがたい。
人生はある時を境にして一気に加速する。
若者よ。時間を侮るなかれ。。。
そのお祝いに、というのではないが、3人で日光澤温泉へ。
日光澤温泉へは何度も行っているが、今回は別なルートから歩き始めた。いろは坂を上りきったところにある金精峠からのあまり人が行かない地味な登山道。
途中に根名草山という山を越えていく。
天気は曇り、時々弱い雨がぱらつく。
この根名草山の名前がよくないね。いかにもショボそうな山みたいに思うよね。いい山なのにね。安室山とか、もっと違う名前ならこのルートもいいのかもね。などと話しながらてくてく歩く。 (ちょうどアムロの引退の話なんかもしていた。)
ロッペちゃんはいつもフルコースだからさぁ、長いコースにしてみた。と、チャリが言う。
ロッペちゃんの新婚旅行は、1000日修行の始まる前、1ケ月半をかけて、車で日本一周ぐるりとしてきたと話していた。
だいたいさー。1県3ケ所くらいまわって次ぎ行くんだよね。
ほとんど車に泊まってさー。あの頃はまだかみさんと仲良かったからねー。
嫌になっちゃうのはさー、ここに行ってみようと思って行ってみると、あっ。ここ、来たことあるって思うんだよ。それまで、忘れちゃってるんだよね。来たことすら。と、ロッペちゃんが言う。
そうだね。。。人はいろんなことを忘れていく。
だけど、流れていく記憶は自分の中にいらない記憶だからなんじゃないのかな。
何十年も生きていると、インプットされた記憶はこぼれだして、いらないものをどんどん消去していくのかもしれない。
でも、心に生き続けていく記憶もちゃんとある。
1ケ月半の新婚旅行、なんて素敵な日々だったことだろう。
その場所は忘れていても、2人だけの記憶はひっそりと心にしまってあるのだと思う。
今は仲良くない、なんて言うけれど、向かい合うのではなくて、同じ方向を見ていく生き方になったってことかもしれない。
https://ameblo.jp/ni3tttym/entry-10988553663.html
愛の形は変わる。。。
聞くと、ちゃんとお誕生日は家族に祝ってもらったそうである。。。。安心した。
ちなみに奥様からもらったのは赤い名刺入れだそうな。
いつも、自分のいる場所、やるべきこと、そして人のために動くこと、それが出来ていてすごいなと思うロッペちゃん。
人生の金精峠越えはまだまだ続くけど、一歩一歩確かに踏みしめて行こう。
見えてくる次の景色を楽しみにして。