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まんがシリーズ1 2009年09月22日
白土三平と言えば、子供の頃、彼の作品は本棚にずらりと並んでいた。
なぜかというと、うちは貸本屋で、ものゴコロついた頃はすでに、わたしは漫画に囲まれて暮らしていた。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=327221804&owner_id=3088979
だから、鉄腕アトムは創刊号からずっと39巻くらいまで持っていたし、少女フレンドもマーガレットも最初からずっと読んでいた。( これ自慢。 )
字が読めるようになったのも、漢字を覚えたのも、漫画のおかげで、1年生に上がる前には、ひととおりの文字は読めるようになっていた。(そのかわり近眼になっていた。)
だから、少し歪んだ感性も、ヘンなものに興味を持つ志向も、多分、貸本屋だったせいだと思われる。
なぜなら、小学校に上がる前くらいから、すでに忍者武芸帖とか、サスケとか、読んでいたような気がするのだ。暗くて、ベタが多く、バッタバッタと人が斬られて死んでいく内容は、人生、そう楽なもンじゃない。と、子供心にも思わせる迫力があったし、死屍累々の殺戮シーンや強姦シーンもあって、幼心にショッキングだったこともなーんとなく、記憶の隅にある。(親に見るなと言われた記憶はなし。)
当時は漫画なんてひと揃えでなんて買ってもらえない時代だ。姉貴のクラスメイトあたりがこぞって毎日漫画を借りにやってきていた。
母が子供たちを軽くさばいていた。
そんな漫画をいの一番に読めたのだった。
コンクリの床を思い出す。
白土三平の漫画だけでなく、手塚治虫や、水野英子、わたなべまさこや梅図かずおなんかも読んでいたが、当時は忍者モノは人気だったと思う。
内容を理解していたのかまでは、よく覚えていないが、とにかく、はっきりと記憶にある。
忍者、カムイの姿。
今日は一日自由に使えることになったので、銀座までてくてく歩いていって、築地でお寿司を食べて、カムイ外伝、観た。
http://www.kamuigaiden.jp/top.html
抜忍のカムイは松山ケンイチ。なにしろこのヒトが観たかった。
17世紀の日本。
士農工商の階級制度の確立で、そのどれにも属さない、非人という下層階級に生まれたカムイ。
人として扱われぬほどの卑しい人間として、農民たちからも激しく疎まれて生きていた。
戦いに長け、強くなる事に没頭していたカムイは、望まずして、忍者の道を進むことになった。
しかし、無益な戦いと仲間同士でも敵味方となれば命を奪い合う世界に嫌気がさし、自ら、抜忍として、追われる身となる。
しょっぱなのシーンのアクションから、ぐぐっと引き込まれ、かなり歩いた後で、眠くなるかと思いきや、最後までいっきに集中できた。
とにかく、走る、走る。松山ケンイチ演じるカムイの、走る姿は魅力的だ。
戦うために、逃げるために、そして、生きるために。
その走る姿を見るだけでも、価値はある。
そして、わたしの脳裏にある、白土三平のカムイの姿と重なった。
十字になって、高い木の上から降りる姿。長く伸びた前髪から、憎しみの目で追っ手を睨みすえる姿。
CGを駆使してより漫画的な映像をプラスしているが、さほど気にはならない。
その時代の人々も、漫画の世界そのままだ。漫画と、重なる。
漫画の中でもそうだったが、戦いのシーンは残酷だ。血糊は飛び散り、腕は切り落とされ、死体はそのまま転がっている。
スピード感あふれるアクションシーンと、殺陣はお見事。松山ケンイチ、堂々たる運動神経で、緊張感ある戦いのシーンを盛り上げる。
ただ、残念と思うのは、漫画にあったような、いい知れぬカムイの孤独感を、そこまで描けていない事か。もう一息でかないそうなのに。
サヤカとの件は、彼女をもう少し奥に置いて、あまり喋らせないほうがよかったような、、、。ずっと見つめさせて、アイコンタクトが繰り返されて、貝だけを渡したほうが、もうちょい、せつなくなったような気がする、、、。(余計なお世話だけど。)
見終わって、むくむくと、白土三平の作品を今一度、読みたくなった。
今日、はっきりと、わかった。
ヘンタイのわたしを作ったのは、やっぱり、白土三平だ!!
青春残酷物語系のハシリは、白土三平の作品群だった!!
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD14478/gallery/i001.html